著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (訳:田中薫子)
出版社:徳間書店
出版日:2003年11月30日
評 価:☆☆☆(説明)
題のマライアおばさん、というのは主人公ミグの父のおばさん。年のためか杖がないと歩けない、誰かに手伝ってもらわないと着替えもできない。しかし、とても傲慢で、他人に何かを頼むときにも、「別に~~してくれなくても良いんだよ」なんて言い方をする。言葉どおりに、本当やらないでいると口を極めてののしるくせに。
著者によると実在のモデルがいるらしい。イヤだね、そんな人がそばにいたら。年をとれば多少頑固にも卑屈にもなるし、身体が不自由なら他人の世話になるのも仕方がない。のだけれども、マライヤおばさんは、そんなんじゃなかった。
ネコを追い払うために、杖を振り回して走っていたりする。どうも身体が悪いというのはウソらしい。それどころか、本当は魔女でこの街を牛耳っていた。20年も前からの陰謀によって、この街は女性だけが元気で男性は生気を失ってゾンビのようになっていた。
前半は、幽霊なども登場し、おばさんのやり口が陰湿でジメジメした感じがする。しかし、謎解きが進み始める中盤以降は一気に読ませるのでご安心を。時間を自由に行き来しながら問題を解決するところの軽快さや、最後の全面対決からエンディングに向かう流れは、ジョーンズならではの盛り上がりだろう。
原題は、「Black Maria」。トランプでスペードのQを取ってしまうと減点になるゲーム。
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