著 者:ポールスチュワート 訳:唐沢則幸
出版社:ポプラ社
出版日:2001年10月第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
前号を読んだ時の感想「今後に期待したい」に、応えてくれる内容だった。
話の設定や目標が明確だし、適度なサプライズもある。そして何よりテンポがいい。前号の単調な繰り返しと比べたら、続きとは思えないほどだ。
「地上町」「神聖都市」「薄明の森」「泥地」と、舞台が代わって行き、それぞれの場所の性格もユニークだからテンポ良く感じるのだろう。さらに、前号では人格がしっかりと描写されているのは主人公のトウィッグだけで、その他にでてくるのは、ただの怪獣に過ぎなかった。しかし、本書では船長に乗組員、光と闇の博士、悪役のヴィルニクス等々、登場人物が多彩だ。ファンタジーはこうでなくては。
非科学的であっても設定は面白い。
浮力を持つ石である「浮遊石」、この世界では、この浮遊石を使って船を空に飛ばしている。また、空中都市サンクタフラクスは巨大な浮遊石の上に建設されている。そして、浮遊石の浮力とのバランスをとるための石「嵐晶石」、嵐晶石は暗いところではとてつもない重さになる、同時に汚染された水を浄化する作用もある。
ストーリーは、サンクラフラスクを地上につなぎとめておくための鎖の製造によって、水の汚染が進み、汚染された水の浄化のために嵐晶石が使われてしまい、さらにたくさんの鎖が必要になる、という完全な悪循環からスタートする。
この悪循環を断ち切るためには新たな嵐晶石が必要、というわけで、それを求める冒険が本書の内容だ。
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