こわれた腕環 ゲド戦記2

著 者:ル・グウィン 訳:清水真砂子
出版社:岩波書店
出版日:1976年12月10日第1刷 1989年2月15日第17刷
評 価:☆☆☆(説明)

 ゲド戦記の第2巻。前巻で自らの影と対決した若き魔法使いハイタカは、すでに竜を退治した「竜王」の称号を持つ大魔法使いに成長している。この間は数年という設定なので、年齢的にはまだ若いと言える。

 前巻が独特の雰囲気を持ちながらも、影との息詰まる攻防が描かれていて、他のファンタジーと共通する「動」の部分があったのに対して、本作は完全な「静」の世界だ。
 地下に巡らされた迷宮、そこを守る巫女、舞台は動きどころか光さえ差さない暗黒の地下迷宮なのだ。そして、ほとんど魔法は使われない。地震を留めるという魔法が後半にでてくるのだが、何かを起こすのではなく起こさないという、大技ではあっても地味なもの。その他は目くらましとか、うさぎを呼ぶとかで、本当に動きがない。動きがないだけに、ストーリーは内面に深く入り込む。

 言い忘れたが、今回の主人公はゲドではなく、巫女のアルハ(テナー)だ。ゲドは中盤まで姿さえ現さない。
 地下迷宮から巫女を救い出す、というのは、何かの暗喩なのだろうか?

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