著 者:上橋菜穂子
出版社:偕成社
出版日:2001年8月第1刷 2001年9月第2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
女用心棒バルサが活躍する「守り人」シリーズの外伝的な物語。バルサは登場しない。主人公は、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムと星読博士のシュガ、舞台も新ヨゴ皇国ではなく、南の隣国サンガル王国。
サンガル王国の第一子に男児が誕生し、その祝いの儀式への出席のために、チャグムとシュガが出掛ける、という設定。
サンガル王国は、かつては海賊だった今の王家の祖先が周辺の島々を征服して統一した国。王家の男たちは「海の男」であり、戦にも漁にも進んで出て行く。皇宮の奥深くにいる新ヨゴ皇国の皇族とは随分と違う。
そして、女たちは更に特徴的だ。王家と王国を安定させるため、幼いころから権謀術数を学ぶ。大人になれば、島々の領主に嫁いでいくのだが、それも王家の一員として領主たちを監視し、操っていくための方策なのだ。今回の物語でも、この王家の女たちは重要な役割を担っている。
バルサが登場しないので、外伝という扱いなのだが、シリーズの中では重要な位置づけの1冊と思われる。舞台のサンガル王国以外にも、ロタ王国や南の大帝国であるタルシュ帝国などが紹介され、それらの特色や力関係などが明らかになる。「守り人」シリーズの世界観がぐっと広がった感じがするし、サンガルの王子タルサンとチャグムとの間の友情も今後の展開が期待されるところだ。
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