天と地の守り人 第二部

著 者:上橋菜穂子
出版社:偕成社
出版日:2007年2月初版1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「守り人」シリーズ最終章 第3部の2。今回の舞台はカンバル王国、バルサの故郷だ。チャグムとバルサはカンバル王にロタ王国との同盟を説くために王城を目指す。
 もちろん、そうすんなりとは事は運ばない。タルシュの刺客に襲われ、頼りの王の盾はタルシュへの内通者だし、山の王に仕える民である牧童の協力は得られなかった。しかも、カンバル王はすでにタルシュとの密約に1歩踏み出してしまっていた。これを逆転する策などあるのだろうかと、絶望的な気持になる。

 このような、「この世」の政治ドラマと共に、シリーズを通して語られてきた「向こう側」のナユグにも大きな動きがある。それも、この第2部で明らかになる。それが「この世」サグに与える影響も。新ヨゴ皇国は、南のタルシュ帝国の侵攻以外にも大きな危機に瀕していることが明らかになる。ますます絶望的だ。

 冒頭の国境越えの際に、盗賊にわざと荷物を「捨て荷」として落としていくシーンがある。盗賊がそこそこの成果をあげて引き上げていくための方策だ。これが、この巻の最後になって重要な意味を持つ。希望が見えるエンディングに少し心が晴れる。

 新ヨゴにもカンバルにもタルシュへの内通者がいる。彼らとて故国を思えばこその背反だ。弱い国がだどる運命の何と過酷なことか。

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