呪われた首環の物語

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:野口絵美
出版社:徳間書店
出版日:2004年7月31日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 このタイトルはいただけない。おどろおどろしいホラー小説かと思って、子どもたちが手に取れないのではないでしょうか。中身は少年少女向けの平易なストーリー。思春期の悩み、他者への理解、家族についてと、どちらかと言えばさわやか系の物語だ。
 原題がそうならば、著者の意図が反映されているとして仕方ないが、原題は「Power of three(3つの力)」だ。シンプルすぎてインパクトに欠けるかもしれないが、こんなにかけ離れた題にして、印象を変えてしまっていいのか?

 「3つの力」とは、物語の中に登場する「古き力、今の力、新しき力」「太陽、月、大地」のように3分割された考えを表している。また、この世界には「人間」と「巨人」、水の中に住む「ドリグ」の3つの種族が住む。この3つの種族の力、という意味もあるはずだ。だから、「Power of three」というタイトルには意味があるのだ。

 「人間」は、正しい言葉を使えば、戸を封印したりできる。それは魔法ではなくて、正しいやり方を覚えれば誰でもできるのだと言う。言葉やものの名前というのは何かしらの力を持っているという考えだ。ゲド戦記やジブリのナウシカなど、そういう考えを基にした物語は多い。

 「人間」「巨人」「ドリグ」という3種族にはちょっとした仕掛けが隠されている。題にひるまず、軽めのファンタジーとしておススメ。

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