著 者:水野敬也
出版社:飛鳥新社
出版日:2007年8月29日第1刷 2008年2月3日第12刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
出版社のWEBサイトによると、現時点で60万部突破とのことで、堂々たるベストセラー書籍だ。近所の書店チェーンでも永らくランキング上位を維持している。半年ほど前に朝日新聞の書評で見てから気にはなっていた。個人的には過去の経験から、バカ売れしている本はハズレが多い、と思ってしまっているので売れれば売れるほど手が出ない、という状態だった。
そんな時、たくさんの本を紹介されている、えみさんのブログ「Diary」でこの本が紹介されていて、読んでみる気になりました。普段から本を読んでいる人の意見は、素直に聞いてみようと思うので。
そして、……..これは面白かった。「興味深い(interesting)」ではなく、「楽しい(amusing)」もっと言えば「バカバカしい(funny)」という意味で。それは、ガネーシャというゾウの頭を持ったインドの神様が話す関西弁に負うところが大きいのだが、吉本の漫才のノリだ、それも最近の若手のではなく、往年のしゃべくり漫才の。
かく言う私は関西の出身、漫才と新喜劇を見て育ったようなものなので、漫才のような本書の言葉のキャッチボールが小気味よかった。著者は名古屋近郊の出身とのことだが、この流れるような関西弁と雰囲気をどこで習得したのだろうか?
ところで、本書はいわゆる自己啓発本で、主人公の「僕」のように「変わりたい」「成功したい」と思っている人が、「これを読めば、夢が実現できるかもしれない」と思って読むものだ。私自身もこれを読む時に、そんな期待があったことを否定しない。
そういう意味での効能を求めるとしたら、本書はどうだろう?恐らく、あまた出ている自己啓発本と変わりないのだろう。今までの本でダメだった人の大部分はこれでもダメ。本書の中で、ガネーシャも「ワシが教えてきたこと、実は、自分の本棚に入ってる本に書いてある…」と言っている。
いや、もしかしたら今までの本以上に、効能は薄いかも。なぜなら、この本は面白すぎる。ガネーシャが1日に1つずつ出す課題を実行していく、そうすれば成長するし変われる、というのが本書の目指すところだ。例えば、1日目は「靴を磨く」、2日目は「募金する」という具合に。ところが、この本は面白すぎて、多くの人が1日か2日で読了してしまうだろう。読み終わった後、相当の精神力を持って、もう一度最初から教えを1つずつ実行することが求められる。
著者も、24個の課題を出した後、「もしかしたら、ここまで一気に読んでしまいましたか?」と、聞いてくる。すっかりお見通しだ。
しかし、全部の課題がそうではないが、胸にストンと落ちるアドバイスは多い。上に書いたように、劇的な成功を望むのは期待しすぎだとしても、面白くてタメになる本を望まれる方は是非一読を。ベストセラーにも読んで良かったと思う本はあるのです。
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