バビロンまでは何マイル(上)(下)

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:原島文世
出版社:東京創元社
出版日:2006年3月30日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズおなじみの、パラレルワールド、多元宇宙ものだ。マジド(魔法管理官)とよばれる魔法使いが、世界の均衡を保つために、宇宙の境界を越えて活動している。この辺りは、クレストマンシーシリーズの設定に近い。
 主人公はこのマジドの一人(そう、マジドは何人もいる。本書には5人登場する)であるルパード。彼はマジドとしてひとり立ちしてからまだ2年と月日が浅いのだが、新人マジドの候補選びと、崩壊寸前の大帝国の後継者を捜すという、骨の折れる使命を同時に抱えることになり、職務遂行のため走り回る、というのが本書のストーリー紹介。

 この多元宇宙は、魔法に肯定的な「正域」と否定的な「負域」に分類され、地球は「負域」側にある。ルパードは地球出身ながら、魔法の能力があり、地球では絶大な力を持つ。しかし、正域の宇宙では魔法は一般的だから、魔法の能力を持つ者は多い。彼らが負域の地球に、大帝国の後継者争いに絡んで乗り込んでくることで、大混乱に陥る。
 上下巻で合計650ページの長編なのだけれど、スピード感のある展開の速さで飽きない。ただ、最後の最後に、準主役の男の子の語りが40ページも続く。重要な部分なのだけど、少しくたびれた。

 本書の原題は「Deep Secret」つまり極秘事項、邦題は、ストーリー中重要な役割を持つマザーグースの歌から取っている。このマザーグースの歌のこと以外にも、本書には様々な暗喩がちりばめられているらしく、訳者あとがきで紹介されている。訳者自身は「蛇足と知りつつ」と言っているが、読後に読むことをおススメする。

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バビロンまでは何マイル(上)(下)”についてのコメント(1)

  1. mnonnon

    あし@から来ました。私も子供の時から 本大好き人間です。
    神田の神保町などテーマパーク状態です。
    この記事のジャンルはあまり馴染みのない分野なのですが
    本当に本の種類には限りがないなあと思います。

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