著 者:森博嗣
出版社:幻冬舎
出版日:2001年1月10日第1刷発行
評 価:☆☆(説明)
「ゾラ・一撃・さようなら」という本の著者の作品。前回読んだ「ゾラ~」がそんなに良くなかったのだけれど、それはハードボイルド系で、著者としては珍しい系統だったらしい。それで、もう1冊読んでみようと思って手に取ったのが本書。
ところが、これがさらに珍しい系統だったということが、読んでいてわかった。そして前回よりさらに良くなかった。ミステリ作家さんのミステリ以外の本をまた選んでしまったわけで、迂闊なことこの上ない。反省。
内容は、某国立大学工学部助教授の水柿先生の、特に劇的なことが起きるわけでもない生活が綴られている。奥さんの須磨子さんがミステリ好きなので、日常のちょっとした不思議を話して、奥さんに感心してもらうのが、水柿先生の喜びだ。しかし、須磨子さんの要求レベルは高く、先生が話す不思議の多くは奥さん的には失格なのだ。
チョコチョコと小噺になりそうなエピソードがちりばめられている。ホテルの部屋で盗まれた教授のカバンが、数日後ホテルから忘れ物として届けられた。ホテルが盗難事件をしらばっくれているわけではない。その真相は?とか、大学の庭にできたミステリーサークルの謎、とかだ。
まぁ、そこの部分はちょっとは面白い。でも、所々に著者自身がツッコミを入れて茶化しているところがあって(後述の「小説なのに伏字なのは変ではないか?」のように)、おちゃらけたヨタ話を聞いているようだった。全体としても退屈だったし。
雑誌に連載したものを単行本にしたということだ。小説なんだけれど、大学の先生である著者の体験を聞いているような雰囲気が漂う。大学の名前がNやMやOと伏字なのはまだしも、何人かの名前だけがSとかHとかになっているのは、著者も言っているが、小説なのに変だ。これは部分的には実話だ、ということなのだろう。
だから、著者のファンには面白いのかもしれない。好きな作家の素顔が少し垣間見えて。ただ、私には合わなかったようだ。これも著者自身が入れているツッコミの通り、「なんと、こんなのが本に?」「誰が買うんだ?」というのが、私の感想をうまく言い当てている。
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森博嗣大好きです(・ー・)
で、この本は読んだことがなかったのでレビューが気になり◎
なるほど、なんとなく雰囲気わかりました(笑)
個人的には『スカイ・クロラ』シリーズがおすすめです!
シリーズで長いミステリ系のよりとっつきやすくもあり。
liquidfishさん、コメントありがとうございます。
「スカイ・クロラ」シリーズですね。今度読んでみます。
何でそう思うのか自分でも分からないんですが、
この作家さん、もっと面白い本を書くように思うんです。
だから、もう少しお付き合いしようかなぁ、と….
工学部・水柿助教授の日常
水柿君は国立N大学の工学部で建築学を教える助教授である。奇しくも、年齢は33歳、内田康夫のミステリーの主人公浅見光彦と同い年である。ミステリー作家である森氏が、そこを意識して、33歳にしたのか、それとも単なる偶然かは分からない。(たぶん偶然だろう。)……
こんばんは
訪問&書き込みありがとうございました。
TBがうまく出来なったようで、申し訳ありませんでした。
私の方は、特に制限はかけていないのですが、時折うまくいかないことがあるようです。システム同士の相性の問題かもしれません。
よろしければ、また、別の機会にお試しください。