著 者:枝廣淳子 小田理一郎
出版社:東洋経済新報社
出版日:2007年3月29日発行
評 価:☆☆☆(説明)
サブタイトルが「小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方」というもので、こっちの方がタイトルより本書の内容を端的に表している。
「システム思考」というのは、物事を要素と要素のつながりに着目した「システム」として捉えることで、問題の解決策やより良いコミュニケーションを導き出す手法のこと。私はこのことを知らなかったので、「システィマティック(体系的)な考え方」のことかと思っていたがそうではない。それどころか、英語でSystematicsと言えば「分類学」のことだが、「システム思考」はその対極と言えなくもない。
なぜなら、システム思考では、個々の要素を個別に分類したり細かく分析することでは問題を捉えられないというところから発しているからだ。ずいぶん前に読んだ「複雑な世界、単純な法則」で解説されていた「ネットワーク科学」と通じるものがあると思う。
あるべき姿を描き出すための「時系列変化パターングラフ」や、物事の構造を明らかにし、問題解決のポイントを見つけ出す「ループ図」などのツールを使って、望ましい問題解決やコミュニケーションを導き出す。本書にはこれらツールの使い方が、実践例を用いながら紹介されているので、興味を持った方は一読をオススメする。私もさっそく応用してみようと思っている。
タイトルに「解決策」という言葉もあることだし、本書に「問題解決」の手法を求める向きは多いだろうが、私は「問題解決やコミュニケーション…」という具合に、添え物のように後に続く「コミュニケーション」のための、システム思考のツールの利用に光明を見た。
このことは、本書にも「システム思考の効用」の1つとして解説されている。つまり、先に挙げたツールは、一目で言わんとすることが分かる、という効用がある。
物事を言葉で説明しようとすると、どうしても1つずつ順番に話すしかない。すると肝心の部分に行き着く前に、反論されたり質問されたりして話がずれていってしまう、ひどい時には自分が責められていると思って怒り出されてしまう。こんな経験の1つ2つは誰でも持っているのではないだろうか?ビジュアルに最初からすべてを目にすれば、こうしたことは避けられるはずだ。
「怒り出す」ということから、もう1つ。
「システム思考」では、問題について人や状況を責めない。あくまでも構造に問題点を求める。「あなたがちゃんとやらないから、こんなことになった。」と言いたい状況は多々起きる。しかし、そう言って問題が解決したことがあまりないのも事実だ。
問題点を人に持っていくと、その人と私は、向かい合って対決することになる。しかし、構造に問題点を求めると、その人と私は共に問題解決にあたる仲間になる、というわけだ。
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幅広いジャンルの書評に感服いたしました。
YO-SHIさまが指摘されているように、システム思考をコミュニケーションの強化にも応用できるという捉え方をすれば、本書が目指したビジネス領域に留まらずより広い分野に応用が利く考え方だと納得しました。
これからも独特な切り口での書評を期待しております。ありがとうございました。
はっしーなゆきさんへ
コメントありがとうございます。はっしーなゆきさんのブログも拝見しました。
ビジネス書関連の本選びの参考にさせていただきます。
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thinkさんへ
コメントありがとうございます。
幅広いジャンルと言うより、とりとめがないと言った方が合いそうです。
こうしてブログの記事を書くようになって並べて見ると、つくづくそう思います。
thinkさんのブログの更新も楽しみにしています。