著 者:森 博嗣
出版社:中央公論新社
出版日:2008年6月25日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)
「スカイ・クロラ」 シリーズ 番外編の短編集。読売新聞の会員制WEBサイト等で連載された作品5編と、書き下ろし3編を収録。本編で重要な脇役であった、ササクラやティーチャ、カイ、それからミズキ(!)らを中心に据えたサイドストーリーだ。連載された既出作品は、シリーズの世界で生まれた「小さな物語」。魅力的な脇役にスポットを当てて、世界観を補足したり、脇役のファンに応えたりするものだろう。(実際、ササクラやティーチャのファンは多いようだし)
しかし、書き下ろし作品3編はそういう主旨のものとはちがう。これは、本編の5冊を読んだ読者に巻き起こった「あの「僕」は一体誰だ?」の堂々めぐりに、著者が応えたものだと思う。
「何て読者想いの著者なのだろう」とは思うが、そこはシリーズ5冊を費やして読者に「なぞなぞ」を仕掛けた著者だ。種明かしはしてくれない。ヒントだけを残して「これでおしまい」とばかりに、またもや扉を閉じてしまった。
ただし、提示されたヒントは、謎の核心に迫るものだった。「ここまで分かれば、ちゃんと整理し直せば、すべてがスッキリする答えにたどり着けるのでは?」という期待を抱かせるに必要十分なヒントだと思う。
今、私の手元には本書で得たヒントを元に、出来事を組み立て直そうとしたメモがある。あと少しで分かりそうなのに..。いやいや、5冊を読み終わった後に「分からないのが楽しい」なんて言って自分に言い聞かせたはずだ。これでまた、分かりたくなってしまったではないか。著者は何てことをしてくれたのか..。
思えば「スカイ・クロラ」を読んでからこれまで、ずっと著者の術中にはまりっぱなしで、もてあそばれたようなものだ。
あぁ、ホントはどういうことなのか知りたい..。
にほんブログ村「森博嗣ワールド 」ブログコミュニティへ
(森博嗣さんについてのブログ記事が集まっています。)
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
スカイ・イクリプス
書評リンク – スカイ・イクリプス
心待ちにしてました!YO-SHIさんのこの書評が出る日を!
全く同感!私もコレを読んでから、5冊の本にまみれ埋もれてます・・^^;
もう1回読んでみたくなるし、あの事実だってヒントだらけで、分かりそうな気がしてくるのですよね~^^
主人公の「僕」はわかったけど、カンナミとクサナギの繋がりは・・やはりなんか特殊な匂いがありますよね。
森さんって素敵な方ですよ。楽しませてくれますね。ほんと楽しいです!
TBさせてくださいね。
「スカイ・イクリプス」
「スカイ・クロラ」シリーズのサイドストーリー8章からなる短編集。
1章は30ページほどで、
刹那のフラッシュバックであるかのような…
るるる☆さん、コメントありがとうございます。
あぁ、どうしてこんなに「知りたがり」になってしまったんだろう。
ちょっとしたセリフに反応して「これは、あのことを言ってるんじゃ
ないか?」なんて考えたり..
「知りたい」が高じて「楽しい」と「つらい」を行ったり来たり
の感じです。るるる☆さんの「ほんと楽しいです!」っていう
コメントを見て、「楽しい」に振りが戻ってきました。
どうもありがとう。感謝。
私も、頑張れば答えに手が届きそうなヒント(?)につられ、
時系列の整理を…途中まで進めたとこで放置してます(^-^;
(そのうち整理しよう、と思い続けて何週間。)
そこは気にせず読めばいい・・と思いつつも。やっぱり気になりますよね。笑
liquidfishさん、コメントありがとうございます。
そうなんですよ。頑張れば答えに手が届きそうな(気がする)んです。
でも、答えの究明は無期停止中です。しばらく寝かせておいた方が
良いかと思って。
というか、誰かスパッと解明して教えてくれないでしょうか?
スカイ・イクリプス
スカイ・イクリプス/森博嗣
¥1,785
Amazon.co.jp
綺麗だ。濁ったものはここにはない。
なにもかも、消えてしまったから。
美しい。空しかない。
空で、地上で、海で……人はそれぞれの場所で生き続ける。
望み、求め、諦め、憧れながら。
「彼ら」が語る「…
コメ&TBありがとうございました♪
>もてあそばれた
分かります…謎を沢山散りばめられ、全て回収してくれない。
あまりすっきりしないラストのはずなのに、
読後の気持ちはなぜか爽快感が残りました。。。
雰囲気の良さや、文章の綺麗さに騙されているのでしょうか^^;
視点ごとに時間軸を追って行けば真実にたどり着けますかね。
読み直して、まとめてみたい気持ちもあったりします★
月夜さん、コメントありがとうございます。
雰囲気の良さや、文章の綺麗さに騙されている、と思います。(笑)
「騙す」というと言葉は悪いですが、「雰囲気の良さ」は、
このシリーズの特長だと思いますが。それがハマった人は、どこまでも
このシリーズについて行ってしまう。そんな感じでしょうか?
真実にたどり着けるのでしょうか?
たどり着いた人をまだ知りません。(泣)
先日はコメントありがとうございました。
遅くなりましたがYOーSHIさんの書評を読ませていただきまして、感じました。「あぁもう本当にわたしと同じことを思っていらっしゃる…!」と…。
森氏はきっと、悪戯好き、というか相当ないぢわるさんですよね(笑)
もう一度スカイクロラからメモ片手に出直してこようかと思います。
…もうちょっと寝かせてから…(笑)
ゆぎさん、コメントありがとうございます。
ゆぎさんと私だけでなく、同じことを感じてらっしゃる方は
多いようです。森さんはイタズラ好きで、読者と戯れていると。
・・ちょっと寝かせた方が、いい味が出ると思いますよ。(笑)