著 者:安藤俊介
出版社:大和出版
出版日:2008年10月1日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
著者の安藤俊介さんからお声をかけていただいて、出版社の大和出版さんから献本いただきました。感謝。
アンガーマネジメントとは、本書によると、「怒り」に正しく対処することで健全な人間関係を作り上げる知識・技術を習得する、ということだそうだ。「怒り」は感情の中でもとくにマイナスの結果を引き起こす原因となる、つまり怒りのままに行動すると、自分にとっても周囲にとっても良い結果は生まないから、怒りに操られるのではなく、怒りをコントロールしましょう、ということだ。
私は、自分では怒りやすい方ではないと思う。しかし、怒った時にはかなり高いレベルに到達することがある。我が家の壁には、私がつけた拳の形のへこみがあるぐらいだから。絶対に人に手を出してはいけないと思っているので、壁に犠牲になってもらった。
本書は、怒りを分析することから始まる。あっという間に頂点に達する私の怒りも、分解すると3段階からなるそうだ。(1)出来事に遭遇、(2)出来事の意味付け、そして意味付けの結果、許せないものであれば(3)怒りの発生、という具合だ。
だから、誰かの行いの結果である(1)だけでは私を怒らせることはできない、(2)(3)という私の行いが私を怒らせている。つまり、私の怒りは私自身が選択したものであって、その選択の責任も私にあるのだ。いや参った、イタイところを突かれた思いだ。誰だって怒っている人は、「誰かのせい」で怒らされた、と思っているだろうから。
この怒りの発生までの3段階の分析は、自分に反省を促すだけではなくて、これをさらに追及することで「怒らない」ためのテクニックが導き出される。本書ではそれらが具体的に紹介されている。今すぐ使える方法から、長期的に取り組むものまでいろいろあり、詳しくは読んでもらうしかないが、想像するにその効果は劇的だと思えるものもある。
ただ欲を言えば「怒り」のエネルギーを積極的に活用する方法はないのか?と思う。本書は、ほぼ全編が「怒らない」ことに主眼が置かれている。「「怒り」をプラスに生かす視点」という項目があるのだが、プラスに生かす方法は書かれていない。代わりに「怒らない」ことで得られるプラス面が大きいということが強調されている。まぁ、発想の転換ということかもしれないが。
「欲を言えば」はあるにしても、真面目な良い本だと思う。世の中全体が他者に対して不寛容になっているように感じる。こうした技術が広く普及して「大人のたしなみ」のようになれば、多くの悲劇が未然に防げるだろう。そのためになら、この本が多くの人の手に渡ると良いと思う。だからオススメだ。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
著者の安藤俊介です。
この度は拙著の書評を誠にありがとうございました。
今回は入門編ということで、怒りに支配される側からの脱出を趣旨に書きました。
そうですね、今度は怒りを前に進むエネルギーに変えるための方法論やテクニックなどについても紹介していきたいですね。
今後ともよろしくお願いします。
安藤俊介さん、コメントありがとうございます。
この記事を投稿した後、安藤さんのブログを拝見して
「怒りは正しいチャネル(方向)に流そう!」という
記事を見つけました。
やはりあるのですね。怒りのエネルギーをプラスに転じる
方法論やテクニックが。
次は、そのことについて知りたいです。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
アンガー・マネジメント
「アンガー・マネジメント」(大和出版)と言う本を著者の安藤俊介さんから献本いただいた。お礼申し上げます。題名から分かるように、怒りの感情をコントロールしていくための技術について解説された本である。私たちの身の回りには、色々と腹の立つ出来事が多いことは、…….