別冊 図書館戦争2

著 者:有川浩
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2008年8月9日初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「図書館戦争」シリーズの登場人物の誰かを主人公に据えた「別冊」シリーズの第2弾。それで、今回は誰が主人公かと言うと、大方の予想通り「柴崎&手塚」のカップルです。「別冊1」でも特に進展がなかったので、次に誰を書くかとなればこの2人しかないでしょう。

 今回は、ベタ甘ではない。「堂上&郁」の戦闘形バカップルは、ベッドへの「投げっぱなしジャーマン」という変わった愛情表現を見せて、相変わらず甘々なのだが、主人公2人(特に柴崎)は「甘えたら負け」だとばかりに、どこまでもクールだからだ。
 甘いどころか、今回のストーリーはビターです、ダークです。激甘の前作の続きで甘いと思って食べてみたら苦い。カカオ90%のチョコレートのようだ。苦くてもチョコだし「好き」って言う人もいる。この話も苦いけれどイイ話になっている。苦さの向こう側でやっとあの2人は、お互いを想う気持ちを確かめ合うことができた。
 そしてダークさで言えば、図書館内乱での郁の査問会の時以上の暗~い展開。第一稿を読んだ著者の旦那さんが「後味があまりににも気持ち悪くて..」とおっしゃったという。確かに、こんな「悪意」はこのシリーズではあまりお目にかからなかった。(その後、旦那さんの感想が生かされたので、これから読む方は「後味」のことは心配しないで読んでも大丈夫。)

 本書にはもう1つ別の物語が収められている。図書特殊部隊の緒方副隊長の恋物語だ。扉前の登場人物紹介にも出ていない、マイナーキャラが主人公として登場。でも、私はこの話がすごく好きだ。☆4つの4つ目は、この話のための星だ。それは、求めあったり、ぶつかりあったりしない恋愛の形に心が落ち着くからかもしれない。または、私が緒方と歳が近いせいかもしれない。大人の恋心もイイものだ。
 大人の恋心と言えば、玄田隊長と折口さんの話も読みたい。「別冊」もこれにて幕引きらしいが、有川さん、そんなこと言わずにもう1冊書いてもらえないだろうか?

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6つのコメントが “別冊 図書館戦争2”にありました

  1. YO-SHI

    ぷぅちゃん☆さん、コメントありがとうございます。

    ゴメンナサイ、本編が4冊あります。「図書館戦争」「~内乱」
    「~危機」「~革命」と、それぞれに大きな出来事がありつつ
    4冊を通して、登場人物たちの立場というか気持ちが少しずつ動く、
    という仕組みです。

    だから、シリーズ全部で6冊!道のりは長いですが、1冊目の
    「図書館戦争」を読んで、「これはダメ」っていうのでなければ
    読む価値アリだと思います。もちろん少しずつでOKです。
     

  2. たかこの記憶領域

    別冊図書館戦争 2 / 有川浩

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    ※ネタバレしてません。
    買ってしまった…。
    今までの図書館戦争シリーズは全て図書館で借りて読んでいたのに、いまさら最終巻(多…….

  3. たかこ

    YO-SHIさん こんにちは。
    ほんと、ビターを通りこしてダークでしたよね。でも、有川旦那さんの意見が生かされて良かったと思います。最後にあれがないとねぇ。
    玄田隊長と折口さんも読みたいですよね。また別冊でないかなぁ。

  4. YO-SHI

    たかこさん、コメント&TBありがとうございます。

    どなたかのブログで見たのですが、有川さんは、
    サイコスリラーを書いてもスゴイのを書くのじゃないかと。
    私は、その手のは苦手で、読まないかもしれませんが、
    確かにそう思わせるダークさでした。

    玄田&折口ペアの話は、有川さんの頭の中には、すでに
    あるような気がするんですよ。だから期待してます。
    まぁ、ご本人が「計画なしに書き始めるライブ派」と
    おっしゃっているので、まだしっかりした形ではないかも
    しれませんが。
     

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