エジプト十字架の謎

著 者:エラリー・クイーン 訳:井上勇
出版社:東京創元社
出版日:1959年9月初版 2006年9月70版 2009年1月9日新版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 著者の作品を読むのは初めて。この作品は、初期に発表された「国名シリーズ」の1冊で1932年に発表されたものだ。なんと私の父親が生まれたころだ。その作品がこの度新版として発売されたのだから、著者の人気の息の長さが分かる。

 何だか久しぶりの体験だった。「犯人が誰なのか」にこんなに集中して読んだのは、中学生のころクリスティを読み漁っていたころ以来かも。ページ数が9割進んだところで(推理に必要なすべての事柄が語られたところで)、「誰が殺人犯人か。(中略)りっぱな推理と、幸運を祈る」と書かれた「読者への挑戦状」というページがある。突きつけられた挑戦は受けねばならない、ということで、しばし沈思黙考。..そして敢え無くギブアップした。

 物語は、衝撃的な事件で始まる。田舎町の小学校長がT字路で、道標にTの字に張り付けられた首なし死体で発見される。そして被害者の家の扉には血で書かれたTの文字。執拗に繰り返されるTの文字の事件。タイトルの「エジプト十字架」は、エジプトの古い信仰のシンボルで、縦木が突き出していないT字形をしているらしい。そして、この事件にもその信仰が関わっているのか?
 主人公は、ニューヨーク市警の警視の息子で、その名もエラリー・クイーン。数々の難事件を解決に導いたという実績があるらしく、地元警察の扱いも別格だ。彼が警察の捜査に立ち会い、誰もが見落とした僅かな痕跡から真実を明らかにしていく。推理小説、探偵小説の醍醐味だ。そして、推理に必要な事柄が十分に明らかになったところで「読者への挑戦状」となる。(もちろん、最後の1ピースは分からないままだ。この後、この最後の1ピースがエラリーによって明らかにされ、一気にパズルが完成するように事件が解決するのだ)

 まぁ、私の場合は「挑戦状」をまともに受けて推理しようとしたわけだけれど、そういう読み方も良し、エラリーの名推理を楽しむのも良し。推理小説の古典だが、今どきのミステリーファンにもおススメだ。

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2つのコメントが “エジプト十字架の謎”にありました

  1. 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]

    エジプト十字架の謎

     「エジプト十字架の謎」(エラリー・クイーン/井上勇:東京創元社)を、「本が好き!プロジェクト」から献本してもらった。まずはお礼申し上げる。
     作者のエラリー・クイーンであるが、有名な割には、これまで読んだことがない。実は、クイーンというのは、フレデリッ……

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