出版社:朝日新聞出版
出版日:2009年4月30日発行(増刊)
評 価:☆☆☆(説明)
15年以上も前に休刊になった週刊誌「朝日ジャーナル」が、週刊朝日の緊急増刊という形で1号だけ復刊した。今年は創刊50年の節目の年になるそうで、恐らくはこの期を逃しては復活の芽はなくなる、という関係者の「もう後がない」という思いが結実したのだろう。半月以上も前に発売されていたのだが不覚にも知らずにいた。
復刊の理由は「この国への強い危機感から」ということで、表紙には「怒りの復活」という小振りながら赤文字が躍っている。そんなに力まない方が意見や主張を伝えやすいのに、と思うが、復刊に関わった人々には、今の社会そして雑誌自身のあり方にも危機感や不満があるのだろう。その意気込みは買いたい。
編集長が書く「いまこの時代に「ジャーナル」があったら」という思いは、その危機感や不満の表れだろう。しかし、それを「あの時代は良かった」という形で表現してしまっては前に進む力にはならない。この復刊号にそんな雰囲気が漂ってしまっていることは残念だ。現代の錚々たる論客が執筆をしているが、殆どがかつての執筆者か読者としての「ジャーナル世代」だ。さながら同窓会の様相を呈している。
新聞社も雑誌社もビジネスだから、「思い」だけでは進められないのは分かる。しかし、この復刊が「創刊50年記念事業」ではなく危機感からだというのなら、週刊朝日編集部がいまこの時代に「ジャーナル」が必要だと思うのなら、今回の反応を踏み台に正式に復刊させて欲しいと思う。新たに1誌を出版するのが負担であれば、週刊朝日を朝日ジャーナルにしてもいい。名前も変えるか中身を変えるか、どっちでもいいので。
※週刊誌の増刊なので、すぐに入手困難になると思います。Amazonリンクからは新刊は購入できません。
ここからは、「朝日ジャーナル」についての私の思いを書いています。興味がある方はどうぞ。
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「ジャーナル世代」と言えば、私もその最後尾にあたる。筑紫哲也氏が編集長を務めた1984年から87年というのは、ほぼ私の学生時代。「知的虚栄心」という筑紫氏の言葉が復刊号のキーワードになっているが、まさに私はその虚栄心(見栄)のため(だけ)にジャーナルを購読していた。
その頃の私は、友人の下宿でビールを飲みながら、合コンの相談の続きに政治の話をするという滅裂な思考回路の生意気な学生だった。見栄を張るためのジャーナルだったが、そこで得た知識はこういった時に議論の役に立った。決して生産的とは言えないが、社会や政治経済について意見を戦わせたことは事実。私の選挙での投票の判断は、今でもあの時に考えたことが基準になっている。そう思えば、学生時代にあんな議論をしていたことが頼もしくさえ思える。今の学生さんは友人の下宿で政治の話なんかするのだろうか?
次のようなイベントをやっております。
もしよろしければご参加ください。
4.28 パール判事の日本無罪論購入イベント2
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現在amazon7位です。
『パール判事の日本無罪論』(小学館文庫) 560円
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非常に有名な本です。
右寄りの方は「基礎知識」として、
左寄りの方は「敵を知る」ために、
ぜひ御一読ください。
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
朝日新聞社や筑紫哲也氏について「反日的」だとする批判が
あることは知っています。「朝日ジャーナル」が「反体制的」な
雑誌だったとは私もそう思います。それが「左翼的」だと
言われていたことも知っています。
いただいたコメントは、こうしたつながりがあって、この記事に
付けられたのだと思います。私には思想的な背景はありませんが、
ご紹介いただいた本は、機会があれば読みたいと思います。
はじめまして、私も恥ずかしながらこの情報は知りませ
んでした。
最後は下村満子、筑紫哲也両氏のような当時の朝日の看板
記者を編集長にしたり、池田理代子さんの「ポーランド
秘史」を連載したりするような工夫を重ねながら、それで
も消えていってから15年たつのですね。時の流れは速い
と感じます。
私も同窓会気分で一冊買ってみます。中身はあまり期待し
ませんが。
ただ、論調の問題はおくとしても、次々雑誌が廃刊になる
この雑誌不況の中で、復活は難しいだろうなと正直思いま
す。
いわねさん、コメントありがとうございます。
時の流れは速い、とはまさに私も感じるところです。
廃刊間際のことは、後から何かで読んで知っている
だけで、当時はまったく気にしていませんでした。
それで、私が覚えているジャーナルは、学生時代に
読んでいたもの。それは、なんと25年も前のことに..
復活は難しい、その通りです。でも、週刊朝日を
名か実を朝日ジャーナルにすることは....
これはこれで、難しそうですね。