ペニーフットホテル 受難の日

著 者:ケイト・キングズバリー 訳:務台夏子
出版社:東京創元社
出版日:2009年5月15日 初版
評 価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 海外のテレビドラマのような本だった。「犯人は誰だ」的な軽めのミステリーだ。テレビの場面転換を思わせる短めの章建て。個性的なキャラクターたち。活動的な女性の主人公。それを忠実に支える男性。日本に設定を変えて2時間ドラマにしたらウケるかもしれない。

 舞台は、英国南東部の海岸沿いの小さな村。時代は1906年、5年前に即位したエドワード王時代。と言ってもピンとこないと思うが、エドワード王時代の前が英国の絶頂期と言われる「ヴィクトリア朝」時代。だから、国は繁栄していたけれど、階級社会であり女性には参政権もなかった時代だ。
 そして主人公は、亡夫からこの海辺のホテルを受け継いだ女主人セシリー。ホテルは取り立てて何もない村のホテルだが、上流階級の人々に人気で、良いお客に恵まれてそれなりに繁盛している。プライバシーが守られ、従業員の口が堅いことが、お忍びの旅行に最適というのが人気の理由。ただし、登場する個性豊かで詮索好きなメイドたちからは、そんなことは想像できないけれど。

 そのホテルである日の夕方、宿泊客の1人が遺体で発見される。どうも手すりの壁が崩れて屋上庭園から落ちたらしい。事故ならホテルの管理責任を問われる。殺人事件なら...。
 というわけで、セシリーは警察が到着する前に(田舎なので警察もすぐには来ない)、事件の真相を解き明かそうと、支配人のバクスターの助けを得て行動を開始する。バクスターは亡夫の時代から忠実に仕えてきた。そしてセシリーが何かしようとするたびに「ご婦人がそのようなことをなさっては..」と止めるのだが、結局はいつもセシリーの指示通りに協力する。

 舞台は英国ながら、本書が書かれたのはアメリカ。そのアメリカでは1993年の本書の発表以来人気シリーズとなって、12作で一応の完結を見たものの、ファンの声の後押して今でも年に1作が発表されているという。日本語の第2作がこの秋に刊行予定というから楽しみが1つ増えたというものだ。

 にほんブログ村「ミステリ・サスペンス・推理小説全般 」ブログコミュニティへ
 (ミステリ・サスペンス・推理小説全般についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

2つのコメントが “ペニーフットホテル 受難の日”にありました

  1. はりゅうみぃ

    YO-SHIさん、こんばんは。

    bk1のおすすめ書評選出、おめでとうございます!!
    この本の事は全然知らなかったのですが、こちらを拝見してものすごく読みたくなってしまいました。ので、早速読書メーター登録済です♪

    ここで書くのも場違いなのですが、私の方はお知らせいただくまでまったく気づきませんで、飛び上がってしまいました。(実験作だったものですから、はなから考えてなかったのです)
    嬉しかったです、ありがとうございました。

    こちらでたくさんの事を学ばせて頂いています。
    どうかこれからも、色々勉強させて下さいませ。

  2. YO-SHI

    はりゅうみぃさん、コメントありがとうございました。

    はりゅうみぃさんこそ、bk1の書評ポータルへの3週連続出場
    おめでとうございます。

    2時間ドラマのような軽い感じのミステリーですが、おススメです。
    私としては、秋に出ると言われている第2巻も、より面白くなって
    るんじゃないかと期待しています。

    ※投稿者名をこちらで入れさせてもらいました。ご了承ください。
     

YO-SHI へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です