グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業

著 者:夏野剛
出版社:幻冬舎
出版日:2009年7月30日 第1刷発行
評 価:☆☆(説明)

 著者は怒っている。己の実力を顧みずにウェブビジネスを始めた企業に。また、店頭販売への悪影響を気にしてウェブの価格をそれ以上に安くしない企業に。さらに、ウェブ広告の方が効果があるのにマス広告を出す企業に。その他にもうまくウェブを使いこなしていないあれこれに対して。そして、こんなことも分からない経済界や政界のリーダーたちに対して怒り、最後には、50代以上の経営者らリーダーは「早く退くこと」が唯一の処方箋だし最大の貢献だ、と言う。(「50代でも先進的な方もいる」と後で補足はしているが)

 著者はNTTドコモでi-modeやおさいふケータイの事業を立ち上げて成功させた立役者だそうだ。まぁ、自分が一人で全部やったとでも言うかの物言いはどうかと思う。でも現代は「プレゼンテーション時代」、このくらいの自己PRができなくては頭角を現せないとして認めるとしよう。
 確かに、現在の企業のウェブへの取り組みは中途半端なものが多く、単独のビジネスとして成り立っているものは少ないのだろう。MBAを持っていてマーケティングの専門家である著者にしてみれば苛立ちがあるのは分かる。しかし、著者がそれだけの成功の仕掛け人であるならば、もう少し独自の切り口からの分析なり提言なりが欲しかったと思う。どこかで他の誰かも言っているような話が多く、オリジナリティが感じられるのは、上に書いた「早く退くこと」という提言ぐらいだった。

 このように書くと悪い印象しか残らないかもしれない。確かに期待したものと違ったし私には合わなかった。しかし言い換えれば、本書の内容は教科書にしたいぐらいのスタンダードなウェブビジネスの分析だ。タイトルから感じられる剣呑な雰囲気そのままの本だけれど、ウェブビジネスがうまく行かない理由が知りたい方には参考になるかも。

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グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業”についてのコメント(1)

  1. ぱふぅ家のサイバー小物

    【パブリック/プライベートの壁は取り払おう】グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業

    ポリシーのない経営者が率いる企業は、仮にウェプビジネスに進出したとしても決して儲かりはしない。(167ページ)

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