著 者:道尾秀介
出版社:新潮社
出版日:2007年2月25日 発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書はブログに時々コメントさせていただいている、元フジテレビアナウンサーの松田朋恵さんから「怖いのが苦手で道尾作品を読むなら」ということで紹介していただきました。たいへん面白く読めました。松田さんに感謝。
著者の作品は「Story Seller」というアンソロジーに収録されていた「光の箱」という短編を読んだことがある。ミステリアスな雰囲気がありながら、全体に優しさが感じられる作品だった。それで他の作品を読んでみたいと思った次第だ。
主人公は三梨幸一郎、盗聴専門の私立探偵だ。彼は産業スパイ絡みの案件で、ある楽器メーカーを盗聴していて、偶然に別の事件に遭遇してしまう。目撃者ならぬ"耳"撃者?となったわけだが、私立探偵と警察は相性が悪い。警察に言わないでいる間に、事件は三梨自身を絡め捕るように迫ってくる。
犬の嗅覚と鼻が大きいことの因果関係は分からないが、三梨が盗聴専門の探偵業をやっているのは、彼の身体的特徴つまり耳と関わりがある。その異様さ故に子どものころに心ないイジメにもあった彼は、その耳で向かいのビルの中の会話を聞くことができるのだ。
著者の作品の特長は、読者を気持ちよく騙すミスリードにある。見えているものがその通りのものだとは限らない。読んでいて思い浮かべる情景は、後になって次々と覆されることになる。上に書いたこともウソはないが、読み終わる頃には全く違って見えるはずだ。そういった「騙される快感」を楽しんでもらいたい。
松田朋恵さんのブログ「シャンとしよっ!」
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(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
「片眼の猿」おもしろそうですね。
「騙される快感」・・愉しみたいと思いました(読もう!)。
そういえば著者の作で唯一読んだ「ラットマン」も、
そのタイトルからして、
騙しの要素が多分に含まれていました。
先にお薦めいただいた伊坂作品、
「黒伊坂」の「グラスホッパー」「ラッシュライフ」
「白伊坂」の「チルドレン」読了しました。
(3つの中では「チルドレン」がすばらしかったです。
これまで読んだ伊坂作品の最良のものの一つかと思いました)。
ベストとされる「ゴールデンスランバー」は、
他の未読の作ものを読んだ後、最後にとっておきます。
「オー!ファーザー」は最後から二番目に。
ご教示ありがとうございました。
ブログ応援しています!
わたしのブログもご紹介頂き、ありがとうございました!
そう、「騙される快感」が詰まった作品ですよね。「やられたっ!!!!」と
思ったとき、思わず最初からまたページを繰ってしまうくらいの。
わたしもまだまだ読みたい本が山積みですが、お勧めの三浦しをんさんは早く
読んでみようと思っています!!
「鏡筆の小説」で検索を。ブログが現われます。
作品名「自殺の理由としては十分過ぎる恥」のサンプルが読めます。
鏡筆は筆名。
それで「かふで」と読ませます。
naoさんコメントありがとうございます。
私も1冊しか読んでないんですが「騙し」が著者の作品の特長なんでしょうね。
「ラットマン」も読んでみたいと思います。
「チルドレン」は私も好きな作品です。伊坂さんの作品の「心地いい」が
抽出されたような物語だと思います。
「砂漠」にチルドレンのあの人のことがちょっと出てくるのに気が付きましたか?
—-
松田朋恵さん、コメントありがとうございます。
お名前とブログを紹介させていただきました。事後承諾で申し訳ありませんが、
コメントを拝見して安心しました。
私も何度も前のページを繰りました。良い本を紹介いただいて、ありがとう
ございます。
—-
鏡筆さん、コメントありがとうございます。
ブログ拝見しました。
ブログやホームページで、音楽を直接配信するアーティストはいらっしゃる
ようですが、小説を読者に直接届けるというのは、興味深い試みですね。
うまく発展していくといいですね。
片眼の猿
道尾秀介による、ちょっと変わった探偵ものである「片眼の猿」(新潮社)。私がこれまで読んだ道尾作品は、「背の眼」、「骸の爪」、「向日葵の咲かない夏」などのホラーやホラー趣味満載のミステリーばかりだったので、だいぶ趣が違っていたのには少し驚いた。
……
今回は探偵モノで
小説「片眼の猿」を読みました。
著書は 道尾 秀介
耳に特殊な力を持つ 私立探偵
産業スパイとして盗聴するのだが・・・
サクサクと読める作品で
楽しく 安定した面白さ
道尾さんらしく 今回もミスリードが
やられました……