武田双雲にダマされろ 人生が一瞬で楽しくなる77の方法

著 者:武田双雲
出版社:主婦の友社
出版日:2010年5月31日 第1刷発行
評 価:☆☆(説明)

 出版社の主婦の友社さまから献本いただきました。感謝。

 著者は書道家。3年間の会社員経験の後、同じく書道家である母の影響でこの道を志したそうだ。著名なテレビドラマや映画やイベントの題字を手がけ、アーチストとのコラボレーションも多く、目下大活躍だそうだ。「~そうだ」と伝聞が続いて恐縮だが、私は寡聞にして著者のことを全く知らなかった。
 書道家である著者がどうして「自己啓発本」を?という疑問については、まえがきでこう答えている。「書と向き合うことは「人間の概念を書きつける」こと。あらゆる概念の中でも、特に「どうやったら人類がもっともっと楽しい人生になるのか」ということを考え、伝えたい」。そのために、自分で実践して効果があった「生き方の法則」を本書にしたためたわけだ。

 内容は「ありがとう」の連発で幸せに」といった具体的な方法が、サブタイトルのとおり77個、それが10章に分けて紹介されている。一貫しているのは、ポジティブシンキングと相互作用、そして言葉の力の3つ。ネガティブな言葉よりポジティブな言葉を使っていこう、他人の態度はこちらの態度の合わせ鏡、相手を変えることは容易ではないから自分の態度を変えてみよう、そしてそれらを言葉にして声に出してみよう、ということ。「ありがとう」の連発は、3つの要素が配合されたいい例だ。
 まぁ、突き詰めればこの3つ+αのことしか書かれていないわけで、77もの例を挙げなくてもよさそうなのだが、例がたくさんあって具体的なことにも意味がある。様々な角度から見て言い替えれば、自分に合う言葉が見つかる可能性が高くなる。抽象化された言葉は心に響きにくい、ということは確かにある。私に響いた言葉は72番の「「0」と「1」の差」だった。

 最後に1つ苦言を呈したい。言葉の扱いが雑なのだ。「人生が一瞬で...」というサブタイトルは中身を正確に表していない。でもこれはキャッチコピーだから良しとしよう。中身の文章に擬音や遊びが多いのも、私は気に障ったが親しみやすさを演出する工夫だと認めよう。
 しかし、文章の前後がズレている箇所がいくつもあることは見過ごせない。これは「誤り」だからだ。例えば上に書いたまえがきの文章。「人類が..楽しい人生になる」ではおかしい。「人類が(それぞれorみんな)..楽しい人生を送れる」「人々の人生が..楽しい人生になる」とするのが妥当だろう。
 話言葉ではありがちな誤りで、そう神経質になることもないが、文字にする以上これぐらいの厳密さは必要だろう。著者は、書道家として言葉を厳しく重要視しているそうだが、そういったことは残念ながら本書からは見て取れない。また出版社は、校正の段階で気が付かなかったのだろうか?

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