マクダフ医師のまちがった葬式

書影

著 者:ケイト・キングズバリー 訳:務台夏子
出版社:東京創元社
出版日:2009年9月11日 初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 「ペニーフットホテル」シリーズの第3弾。第1弾「ペニーフットホテル受難の日」では、ホテルの屋上庭園からの墜落死亡事故があり、第2弾「バジャーズ・エンドの奇妙な死体」では、全身が青く変色して人が死ぬという怪事件が起きた。そして今回は「葬式で棺を改めてみたら別人の死体が入っていた」。これまでにも増して奇妙な事件が起きたものだ。
 事件は、ホテルやその従業員の関与が疑われ、警部にそれを感付かれるとホテルの閉鎖措置に発展しかねない。それを未然に防ぐために、例によって自分で調査に乗り出したホテルの女主人のセシリー。今回も彼女の推理と地道かつ大胆な調査活動が楽しめる。時は1907年、その時代の空気で言えば「女にしとくにはもったいない」活躍だ。

 このシリーズの魅力は、言わば素人探偵のセシリーの活躍はもちろんだが、登場人物たちが織りなすドラマにもある。ホテルで働く面々を中心として登場人物を固定して描いて本書で3冊目。今回は色々なことがあった。前作のレビューで「もっとしっかりして欲しい」と書いたメイドのガーティは、少ししっかりしたようだ。
 そして、前作まではこれと言って目立たなかった意外な人が意外な一面を見せたかと思うと、別のところではロマンスのつぼみが膨らみ始めたり。それなのに、セシリーと調査に否応なく協力させられる支配人のバクスターの関係は相変わらず遅々として進まない。と思っていたら...!。

 本書だけで物語は完結しているが、1作目から順に読む方が楽しめると思う。(文庫本で1冊約千円はちょっと高めだけれど、単行本の文庫化ではないので仕方ないかと..)

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