上と外

著 者:恩田陸
出版社:幻冬舎
出版日:2003年2月27日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆☆(説明)

 私は本当に怖い話は苦手なので、ホラーを手に取らないように気をつけて、数多くの著者の作品の中から選んで読んでいる。本書は表紙の絵が「ドミノ」のイラストにテイストが似ていて(どちらのもどなたのイラストか分からないのだけれど)、図書館で見かける度に、いつか読もうと思っていたのだけれど、510ページの2段組の分量に怯んで、なかなか手を出せないでいた。
 分量が多いのも当然で、本書は2000年8月から1年間に亘って隔月で発刊された6冊の文庫シリーズを合本したもの。ちなみに、出版社は2003年に出したこの単行本の後に、上下巻にして再び文庫版を出している。きっと評判が良かったのだろう。(右のamazonリンクは文庫版、単行本の新品がなかったので)

 読み終わって「2段組だろうが510ページだろうが、もっと早く読んでいれば良かった」という気持ちになった。出版社がこれをもう一度文庫にした気持ちが分かる気がする。エンタテイメントに徹した結果、話が急展開したかと思うと焦らしたり、今度は強引に突き進んだりと、著者に振り回されっぱなしなのだけれど、すごく面白かった。

 主人公は中学生の楢崎練、妹で小学生の千華子、父で考古学者の賢、母で化粧品会社の広報ウーマンの千鶴子の4人家族。実は、賢と千鶴子は既に離婚して、千鶴子は千華子と暮らし、賢が考古学の研究のために外国で暮らしているので、練は祖父の家で伯父や従兄弟たちと暮らしている。つまり普段はバラバラなのだ。
 そして主な舞台は中米のG国。賢がいる国に夏休みを利用して4人が集まった。久しぶりの再会。賢がマヤ文明の遺跡を案内して、楽しい家族旅行になるはずが、とんでもない事件が起きる。ストーリーを言ってしまうわけにはいかないので順不同でキーワードを。クーデター、ジャングル、成人式、地下迷宮、風船、ロッククライミング、金型工業。涙腺の弱い方は注意。

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3つのコメントが “上と外”にありました

  1. igaigaの徒然読書ブログ

    「上と外」 恩田陸

    上と外 恩田陸
    両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人……

  2. igaiga

    こんにちは。
    この話は結構好きでした(´∀`)
    とても非日常な世界ながらもドキドキワクワクしながら読みましたね。

    ラストのじいちゃんのところではうるうるきました。
    恩田作品の中で上位に入れちゃうくらい好きで読み応えありの作品でした。

  3. YO-SHI

    igaigaさん、コメントありがとうございました。

    この話は面白かったですよね。

    じいちゃんのところも良かったですが、私は木の上の千華子に
    ウルウルしました。
    その時、家のリビングで読んでいて、娘に後ろから話しかけ
    られたんですが、すぐには振り向けなかったです。
    父さんが、本読んで涙目になってたらビックリすると思って。

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