利益を生み出す逆転発想

書影

著 者:川合善大
出版社:かんき出版
出版日:2011年6月8日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者が社長を務める株式会社にちほシンクタンク様から献本いただきました。感謝。

 著者の会社は、新規ビジネス創造・経営支援を行う、経営コンサルタント会社。そして本書表紙のコピーによれば、この会社は31年間増収増益なのだそうだ。実は私は中小企業診断士の端くれで、プロコンサルタントの知り合いも多い。中には自分の会社の業績が思わしくない人もいて、「そんなところにコンサル頼みたくないよねぇ」と、仲間内だけで言える笑えない冗談も聞く。翻って言えば著者の「31年間増収増益」には、大変強い説得力を感じる。

 まず、著者の言わんとすることを、逆の面から端的に表している言葉を引用する。「ピンクの工具箱などは売れないでしょう」 これはある商品で、それまでなかったピンク色を作ったらヒットした、という例を踏まえた著者の提案に、工具箱の製造メーカーの社長が返した言葉だ。
 この社長は「工具箱のことなら誰よりも知っている」と自負していたことだろう。しかし、世の中も客の要求も変わってきている。「ピンクの工具箱は売れない」と、自分の経験だけで判断してしまっては、新しい商品もニーズも生まれない。つまり「固定観念を捨てろ」ということだ。

 固定観念を捨てれば、発想は拡がる。「早さ」でなく「遅さ」で勝負。「安さ」でなく「高さ」がウケる。「商品」を売るな。本書には、タイトル通りの逆転発想の例がたくさん紹介されている。もちろん、他と反対のことをやればいいというのではない。その発想の底には徹底した顧客志向がある。客の心になり切る、できないなら客に直接聞くのだ。

 とは言え、数ある例の中には、うまく行きそうにないと感じるものもある。私の「固定観念」が邪魔しているだけだ、ということもあるが、著者のこんな言葉を見つけて、私は得心がいった。きっとこれが本質であり、31年間増収増益の秘訣のひとつでもあるに違いない。

いずれにしても頭を使って様々な手を打ち出さないと、ヒットは出ない。事業転換というのは成功率の低いものなのです。

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