ビブリア古書堂の事件手帖2

書影

著 者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2011年10月25日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「ビブリア古書堂の事件手帖」の続編。今朝の朝日新聞の読書面の「売れてる本」欄に紹介され、後ろのページに広告が載っていた。それらによると、シリーズ累計53万部で、10月刊行の本書もすでに22万部に達したそうだ。前作が20万部突破に5か月、今回はそれを大きく上回るハイペースだ。
 本書の人気の秘密の1つは、「本(のウンチク)を物語の中心に据える」という着想にある。しかしこれは同時に「縛り」にもなる。読んで「なるほど」と思わせるウンチクは、無尽蔵にあるわけではないだろうし、それを事件と絡めるのも簡単ではないからだ。だから私は第2巻を期待しながら心配もしていた。著者の抽斗にはまだウンチクは残っているのか?と。

 舞台も主な登場人物も前作と同じ。北鎌倉にある古書店「ビブリア古書堂」を舞台にした、そこの店員の大輔と店主の栞子の物語。本を巡って小さな事件が起きる。いや、見逃してしまえば事件にさえならない。それを栞子が、本の知識と洞察力によって解き明かしていく。
 前作の終わりで大輔はお店を辞めているのに、本書では冒頭から「ビブリア古書堂」で働いている。「色々あって一言では説明しにくい」という説明には苦笑してしまったが、後で少しだけ丁寧な顛末が紹介されていた。

 上で述べた私の心配は杞憂だったようだ。第2巻の本書では全部で4つの書籍が登場するが、どれもが「なるほど」と思わせる物語(ウンチク)をまとっていた。さらに個々の事件が、大輔の過去や栞子の母のことなど、別のストーリーを引き出すようになって、ドラマ性が増したように思う。第3巻は来年5月刊行予定。

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ビブリア古書堂の事件手帖2”についてのコメント(1)

  1. 日々の書付

    「ビブリア古書堂の事件手帖2 〜栞子さんと謎めく日常〜」 三上 延

    北鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」の店主・栞子さんは、膨大な本の知識と洞察力で本にまつわる事件を解決する力を持つ女性です。ただし、極度の人見知りで、本の知識以外の会話がおぼつかない。そんな彼女を支えるのが、あるきっかけでビブリア古書堂で働くことになった主人公・五浦大輔。大輔はトラウマから本が読めない体質のため、栞子さんから聞く本の話が好きで、彼女自身のことも想っているけれど、「本の虫」である栞子さんには、いまいち伝わっていないようで…。
    今回「ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 …

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