探偵ガリレオ

著 者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2002年2月10日 第1刷 2011年6月1日 第50刷
評 価:☆☆☆(説明)

 天才物理学者の湯川博士が主人公の「ガリレオ」シリーズの短編集。1998年刊行の本書がシリーズ第1弾。湯川がその並外れた推理力を発揮し「探偵ガリレオ」の誕生の物語。もっとも「ガリレオ」という呼び名は、湯川の友人である刑事の草薙の上司がそう呼んだというだけで、湯川自身はピンと来ていない。(そう言えば、続くシリーズでも「ガリレオ」という呼び名に覚えがないが..)

 5つの短編が収められている。「燃える(もえる)」「転写る(うつる)」「壊死る(くさる)」「爆ぜる(はぜる)」「離脱る(ぬける)」と、多少強引な読み方をする3文字のタイトルがそれぞれに付いている。
 タイトルはそれぞれの事件の特徴、そして湯川が挑んだ謎を表している。「突然、頭が燃え上がる」「死体の顔がアルミに転写される」「胸部が壊死して死ぬ」「海が火柱をあげて爆発する」「幽体離脱して見た証拠」

 一言でいえば「超常現象」。警察も無能ではないから、犯人の目星は付けられるのだが、立証には「超常現象」を解き明かさなければいけない。それを湯川が、物理の知識と類まれな推理力とで解き明かす。

 「物理の知識」なんて聞くと頭を抱えてしまう私のような人は、推理なんて早々に放棄して、湯川の説明を聞こう。「天才物理学者」も近づき難いが、「理系オンチ」の草薙にする、湯川の説明はとても分かりやすい。また、段ボールの空気砲やらで草薙を歓迎する湯川はお茶目で、友達になりたいぐらいだ。著者は、事件の真相にそこはかとなく人情を絡ませていてうまい。

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