執 筆:有限会社verb
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2011年12月10日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書の編集の株式会社マルコ社様から献本いただきました。感謝。
本書は、景気が悪く将来に不安がある今こそ知っておかなければならない「お金の常識」を、ファイナンシャル・プランナーなどの「お金のプロ」に取材してまとめたもの。税金や保険や年金といった「制度の常識」、貯金の仕方やおトクな預け先といった「貯め方の常識」、結婚や家の購入にかかる費用やローンの話といった「使い方の常識」などが網羅されている。
タイトルによれば想定読者は20代の若者。運よく社会人としてのスタートが切れた人は、月々にまとまったお金が入る。入ったお金をパァっと使ってしまっていては将来は覚束ないし、だからと言って闇雲に節約して貯金すればいいというものでもない。そこで「お金のプロ」から、失敗しない使い方や貯め方を指南しようという訳だ。
例を挙げるとこんなことが書いてある。給料から天引きされている社会保険料は、将来への保障費用で、会社も半額負担していること(自営業の人は全額自分で負担しなくてはならない)。貯蓄をするなら銀行の自動積立が便利なこと。結婚の挙式費用に平均で356万円(!!)もかかっていること。カードの支払いでリボルビング払いは厳禁であること...。
良くも悪くも真面目に作った本だと思った。「良くも」の方は、お金に関する沢山のことを、広く万遍なく紹介したこと。テーマごとに全部で6人の「お金のプロ」の意見を聞き、20代の人に伝えたいことを、抜けがないように紙面が許す限りに詰め込んだ感じだ。
「悪くも」の方は、上に書いたことの裏返しで、「常識」としては、こんなに多くのことは必要ではないだろうと思うことだ。また、本書の項目のほとんどは、「真面目」にルールに則ったことばかりだが、お金に関わるトラブルの多くは、ルールの外やグレーゾーンで起きている。投資やネットワークビジネスや資格講座の勧誘や詐欺など、社会に出るとたくさんの危険が待ち受けている。しかし、本書にはそういったことは触れられていないのが残念だ。
最後に苦言を。全体的に校正が甘いようだ。誤字や「ら抜き」言葉や言い回しが変なところが散見された。表とそのタイトルが合っていないと思ったら、数ページ前の表のタイトルと同じだった、というのもある。校正をしっかりやれば防げたものだ。私も書類を作っていて同じような失敗を何度かしているが、それと出版物では求められる精度が違うはずだ。
また、「お金の常識50」というタイトルだけれど、裏表紙に列挙されている「お金の常識」は21項目、本文の「お金の悩み」は39項目しかないし、本文の「常識」という吹き出しは、逆に100項目以上もある。「50」が何の数字なのか、私には分からなかった。
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