著 者:重松清
出版社:文藝春秋
出版日:2008年12月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
「季節風」という季節ごとに1冊ある短編集シリーズ。それぞれの季節に読もうという「自分企画」で、「春」「夏」「秋」に続いて今回の「冬」で完結。12編を収録。
「冬」という季節はどんな季節だろう?12月にクリスマス、1月はお正月、2月は節分とバレンタインデーと、イベントがある。本書の表題の「サンタ・エクスプレス」は、母から娘への(そして夫への)心温まる粋なクリスマスプレゼント。
お正月を扱ったのは「ネコはコタツで」と「ごまめ」の2編。どちらも昨年までとは違う正月を微笑ましく、そしてしっとりと描く。「一陽来復」「バレンタイン・デビュー」はそれぞれ、節分とバレンタインデーの物語。
本書を読んで気付いたのは「冬」は「春」の前の季節だという当たり前のこと。でも「春」は進学や就職など、別れや旅立ちの季節でもあり、その別れや旅立ちの準備は、「冬」にしなくてはいけない。進路を決心する、誰かに別れを告げるのは、心身ともに凍えそうな「冬」で、そこにはドラマがある。
そんな「春の前の季節」を扱った作品は3編。「コーヒーもう一杯」「その年の初雪」は、卒業や引っ越しによる「別れの物語」で、「サクラ、イツカ、サク」は、大学受験にまつわるつかの間の「出会いの物語」。
私事で恐縮だけれど「春の前の季節」に関連して。私は15年前に、東京から雪が積もる地方に引っ越してきた。年を経てだいぶ慣れはしたけれど、冬の寒さは厳しいし、雪が積もると憂鬱になる。春になって暖かさを感じると本当にうれしい。
「春になってうれしい」なんてことは、寒い地方に来なければ感じることができなかったと思う。
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コメントありがとうございます。YO-SHIさんの読書ブログ、とても丁寧に書かれていていいですね。私の読書生活の参考にさせていただきたいと思います。春がくるのが待ち遠しいです。
まるさん、コメントありがとうございます。
もし、同じ本を読まれたりした時には、感想などを
教えていただけるとうれしいです。
まるさんのブログも時々拝見しますね。