ガリレオの苦悩

書影

著 者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2011年10月10日 第1刷 10月25日 第4刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「ガリレオ」シリーズの第4弾。長編2作目である「聖女の救済」と同時に2008年に出版された。「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」「密室る(とじる)」「指標す(しめす)」「攪乱す(みだす)」の5編を収録。

 テレビドラマ「ガリレオ」や映画「容疑者Xの献身」に登場する内海薫刑事は、原作の小説では本書の「落下る」で初登場する。薫の登場で湯川博士の態度が柔らかくなったように思う。薫は湯川のお眼鏡に適ったようで、その理由がまた湯川らしくていい。

 薫について著者は、週刊誌のインタビューに応えて、ドラマ化にあたって「女性刑事を出したい」と言われて、「自分が名前も知らないようなキャラクターに動き回られるのは落ち着かない」と、テレビより先に「落下る」を書いて登場させた、と語っている。柴咲コウさんがその女性刑事役だと聞いていたので、彼女のイメージで書いたそうだ。

 タイトルの「ガリレオの苦悩」は、短編集によくあるように収録作品中の1篇のタイトルをつけたものではなく、収録の5編に通じるものになっている。特に「操縦る」では恩師、「密室る」では友人、「攪乱す」では湯川本人が事件と深く関わっていて、表面の冷静さの裏に苦悩が透けて見える。私としては3冊ある短編集の中では一番楽しめた。

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2つのコメントが “ガリレオの苦悩”にありました

  1. Hayabusa

    加賀シリーズばかり読んでいて、
    久しぶりに、ガリレオシリーズを読んでみると、
    内海刑事の荒削りなキャラが印象的でした。

    まだ、第1編ですが、内海刑事が、
    どのように活躍していくか楽しみです。

  2. YO-SHI

    Hayabusaさん、コメントありがとうございます。

    第一編の「落下る」の実験で、内海刑事は湯川先生に気に入られた
    というか「認められた」ようですね。刑事は足で稼ぐとは言いますが、
    内海刑事は、足はもちろん頭も手も使いますね。

    Hayabusaさんのサイトも見せていただきました。
    加賀恭一郎シリーズは、読んでないのですが、テレビや映画にも
    なっていて、評判も良いようなので読んでみようと思っています。

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