著 者:和田竜
出版社:新潮社
出版日:2011年3月1日 発行 11月15日 8刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
「のぼうの城」でデビューした著者の第2作。「のぼうの城」では、史実にある武州忍城の籠城戦で、忍城に拠った実在する武将たちの活躍を描いた。有名な武将たちではないけれどその働きは目覚ましく、「無名のキラ星たち」と私は呼んでいる。本書も、天正伊賀の乱という史実をベースにした物語。実在の武将たちが数多く登場する。
天正伊賀の乱とは、伊勢の国主で織田信長の次男の信雄が、隣国の伊賀の国に攻め入った戦い。伊賀の国と言えば忍者だ。信雄が相手にしたのは忍者軍団。本書で忍者軍団を率いるのは百地三太夫だと言えば、「あぁあの」と思う人も多いだろう。
主人公らしきは「無門」という名の、金のためそれも女房に渡す金のためにしか働かない忍者。「分身の術」的な忍術は出てこない。強調されているのは、敵味方なく相手を欺く「謀略」の技。そして彼らは人間離れした体術で、凄まじい戦い方をする。
対する伊勢の信雄軍も負けてはいない。そのひとり日置大膳は、鉄砲の弾も届かない遠くを逃げる忍者を、鑿頭の矢で射て、頭をすっ飛ばしてしまうような豪勇の者。かくして伊勢と伊賀、武士と忍者の、力と技と頭脳の総力戦が展開される。
文庫の「解説」は、読書家で知られる昨年5月に亡くなった児玉清さん。亡くなる4カ月前の執筆。この本のことが好きで盛り立てよう、読者を楽しませようと言う気持ちがあふれている。合掌。
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お久しぶりおです、松田です。わたしも和田竜には注目しています。特に最新の「小太郎の左腕」は秀逸です!今までとは違い、架空の戦や人物を据えていますが、
味わい深いですよ。
松田朋恵さん、コメントありがとうございました。
ブログ、いつも拝見しています。
先日の「小太郎の左腕」の記事も読ませていただきましたよ。
「のぼうの城」「忍びの国」の上をいく面白さのようで、
期待が高まります。