謎手本忠臣蔵(上)(下)

書影
書影

著 者:加藤廣
出版社:新潮社
出版日:2008年10月30日
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「信長の棺」でデビューした著者の4作目。「信長の棺」では、「こうだったかも知れない」という信長の死の真相を描いてみせてくれた。本書でも「忠臣蔵」として知られる、赤穂浪士討ち入り事件の(こうだったかも知れない)真相を、史料の検証と仮説を基に描き出している。

 「忠臣蔵」と言えば、かつてはテレビドラマの鉄板と言われていて、年末にはどこかの局で必ずやっていた。それぞれの番組オリジナルの趣向はあるのだけれど、大筋は同じ。松の廊下の刃傷事件から、討ち入り・本懐に至るストーリーは、すでに頭に入ってる。正直言って「今さら感」はある。著者の作品でなかったら手に取ったかどうか分からない。

 物語は、将軍綱吉の御側用人筆頭の柳沢保明(後の吉保)と、浅野家国家老の大石内蔵助の2人を主人公として、事件を2つの方向から描く。敢えて言えば、内蔵助を主人公にした章の「正統派の物語」を、保明を主人公にした章が「新たな光」で照らす、と言った趣向になっている。

 「新たな光」がどんなものなのかは、本書の肝になるので読んでもらうしかない。本書には他にも魅力がある。それは、多彩な登場人物と物語の細やかな描写だ。主人公2人の他に、将軍綱吉、赤穂の浪士たち、保明が放つ忍び、等々の個性がくっきりと描かれている(「天使明察」の主人公の渋川春海も登場する)

 また「大筋は同じ」なら細部で違いが出る。浪士たちは浪々の身で討ち入りの装束をどうやって調達したのか?討ち入りの後、浪士たちは本所の吉良邸から泉岳寺まで江戸の街を横断しているけれど、犯罪者の身でどうしてそんなことができたのか?こんな細部に目が行き届いている。

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2つのコメントが “謎手本忠臣蔵(上)(下)”にありました

  1. YO-SHI

    株の投資さん、コメントありがとうございます。

    ですが、全く同じ文面のコメントを、たくさんのブログに
    残しておられるようですね。

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