一流役員が実践している仕事の哲学

著 者:安田正
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版日:2013年1月11日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 出版社のクロスメディア・パブリッシングさまから献本いただいました。感謝。

 今回は同じ日に発行された本を2冊いただいた。どちらも若いビジネスパーソンに向けて書かれた、いわば生き方の指南書。出版社さんがそう意識されたのかどうか分からないけれど、その方向性が対照的なので今回と次回で続けて2冊を紹介したい。

 まず1冊目の本書は、コンサルタントである著者が、これまでに5万人の一般社員と1000人以上の役職者に出会って発見した、数々の法則が披露されている。例えば「接待の翌日、平社員は90%がメールすらしない、部長でも80%の人がお礼を言わない、しかし役員は100%朝7時にお礼メールが来る」といったもの。

 こんな感じで、「平社員は〜、部長は〜、役員は〜」「三流は〜、二流は〜、一流は〜」という項目が、全部で36個並ぶ。お笑いの三段落ちのようなもので、テンポも良くて3つめの「役員」や「一流」では、「なるほど」ときれいにまとまっている。まぁ3つに分けるのに無理を感じるものもないではないけれど、そこは拘るべきではないだろう。

 しかし、最初は面白く読んでいたのだけれど、途中から強い違和感を感じた。その違和感の原因は本書にある次の言葉に端的に現れている「仕事以外何もできない自分を選ぶ覚悟を持つ」。つまり、役員になるためには、休みも夜もなく、生活のすべてを仕事のために(もっと意地悪く言うと「役員になるために」)使うべし、そんな考え方が見えてくる。

 そんな時代遅れな...と思った人もいるだろう。私もそう思う。ただ、ところどころ違和感を感じつつも、個々の「三段落ち」にはコンサルタントとしての著者の観察眼の鋭さを感じるものが多い。書店などで見かけたら手にとってパラパラ見てみるといいだろう。

 最後に。本書を読んで思い出したことがある。今から20年ぐらい前、私が若いビジネスパーソンだった頃。どこかのカリスマ社長が出会った人に必ず礼状を出す、という話を聞いて、私もマネをしたことがある(上の「お礼メール」の話と似ているでしょう?)。何万人も社員がいる大企業の一員だった私は、おぼろげながらも「役員になりたい」と、あの頃は確かに思っていた。

 この話の続きともう1冊の話は次回に... 

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