子猫と権力と××× あなたの弱点を発表します

著 者:五百田達成、堀田秀吾
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版日:2013年3月11日 初版発行
評 価:☆☆(説明)

 出版社のクロスメディア・パブリッシングさまから献本いただいました。感謝。

 私たちはいろいろなものに弱い。「限定」商品に弱い、「おいしい儲け話」にも弱い、「ランキング」にも弱い、男の人はたいてい「美人」に弱い...。本書はそうした「弱さ」を「なんだかよくわからないけれど、心が動かされてしまうこと」と定義して、その「弱さ」を克服するために、その仕組みを知り、それと向き合うための処方箋を書こうとしたものだ。

 着眼点はとてもいい。この背景には「情報の氾濫」がある。私たちは日々たくさんの情報を受け取り、知りたい情報はネットで検索すれば大抵わかる。時には「正解」をネットで探すことさえある。つまり判断まで情報に委ねてしまっている。これも「弱さ」の一つで、その心理をよく理解することは、判断を自分に取り戻すために必要なことだと思うからだ。

 告白すると、私は読んだ本の感想をブログに書いているが、他の人の感想が気になる。多くの人が感じたこととかけ離れていると、「不正解」のような気がする。そして、見てしまうと今感じていることが、本当に自分の感想なのかどうか、自分でも分からなくなってしまう。だから私は、感想を書く前には、ネットで書評や感想の記事を見ないことにした。

 このように着眼点はいいし、自分にも思い当たることがある。ただし内容はあまり役に立つとは言えなかった。「弱さ」は全部で44あり、心理学の知見を交えたりしながら、その仕組みはそれなりに説明されている。しかし、その克服のための処方箋が、お世辞にも「向き合っている」とは言い難い。端的に言えば役に立ちそうにない。

 例えば「評判の店に弱い」では、評判によってお店を決めがちな人は→たまには、自分の舌と直感に相談してみる。「黄門さま(つまり肩書き)に弱い」では、「肩書き」=「人徳」になりがちな人は→「役割」と「人柄」は別物だと考える。という具合で「○○してしまう人は→○○しないようにする」と言っているだけか、そうでなければ少し捻って(ユーモアはあるのだけれど)かわした答えが多い。

 そういった具合なので☆は2つ。ただし、元々すぐに効く特効薬などないのだ。この本に処方箋という「正解」を期待するのは、ネットに「正解」を探すのに似ている。「仕組み」が分かったら、あとは自分で考えろ、ということなのかもしれない。

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