シー・ラブズ・ユー

著 者:小路幸也
出版社:集英社
出版日:2007年5月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「東京バンドワゴン」シリーズの第2弾。舞台は前作と同じで、東京の下町にある古本屋&カフェの「東京バンドワゴン」。登場人物もほぼ同じで、章ごとに少しずつ新しい登場人物が加わっていく。

 「文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決」、これは今の店主の勘一の父が記したもので、「東京バンドワゴン」を営む堀田家の家訓で、古本屋の壁に墨文字で書かれている。家訓が実質的な意味を持つ時代ではないけれど、堀田家の面々はそれをできるだけ守ろうとしている。

 この家訓が関係するのか、堀田家には近隣の諸問題を引き寄せる何かがあるらしい。例えば、カフェに赤ちゃんが置き去りにされたり、持ち込まれた本に細工がされていたり、謎の紳士が自分で売った本を変装して買い戻しに来たり..。そして、勘一をはじめとする堀田家の面々は家訓を守って、こうした「事件」に首を突っ込んでいく。

 今回は様々な「過去」が明らかになった。例えば、店の常連のIT会社の社長の過去。それは思いのほか重いもので、社長の現在と未来まで変えてしまうものだった。勘一の息子の我南人の亡くなった妻、秋実についても語られた。それは「東京バンドワゴン」の過去、とも言えるエピソードだった。

 2冊を読んで、チラリと感じたのは、堀田家には良い嫁さんに恵まれていること。勘一の妻でこの物語の語り手のサチ、我南人の妻の秋実、我南人の息子の紺の妻の亜美、同じく我南人の息子の青の妻すずみ。「東京バンドワゴン」は、女性たちによって支えられている(男性陣もがんばってはいるけれど)。

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