漁夫マルコの見た夢/コンスタンティノープルの渡し守

著 者:塩野七生
出版社:ポプラ社
出版日:2007年9月10日 第1刷発行(漁夫マルコ~)/
     2008年5月12日 第1刷発行(コンスタンティノープル~)
評 価:☆☆(説明)

 塩野七生の「ルネサンス地中海シリーズ」の2冊。塩野七生さんと言えば大著「ローマ人の物語」(単行本で15巻、文庫判ではなんと43冊)に代表される、ローマ世界の歴史に基づいた骨太の小説が有名。それに対してこの2冊は、それぞれ数十ページの絵本、さらに言うなら「大人の絵本」だ。

 「漁夫マルコの見た夢」の主人公は、ヴェネツィアの沖に細長く横たわる、リド島に住む16歳の漁師。物語は、彼が謝肉祭の夜に訪れた、ヴェネツィアの富豪の家での甘美な体験。タイトルに「夢」と付いているけれど、これは現実なのか夢なのか?

 「コンスタンティノープルの渡し守」の主人公は、コンスタンティノープルの金閣湾で、渡し船を漕ぐ14歳の少年。物語は、彼の舟に乗る同じ年頃の少女と交わした淡い想いを切なく描く。

 「漁夫マルコ~」の方が「大人向き」の度合いの高い物語。こう言っては何だけれど、16歳の男(今で言えば高校生男子)が見るひどく自分勝手な夢のような話で、ちょっと赤面した。「コンスタンティノープル~」は至ってシンプルな物語ながら、切ない余韻が残る。

 正直に言って、物語としてはあまり面白くなかった。例えば私のように「塩野七生さんの絵本」ということで読んでみたい人はいるだろう。同じように、絵を描かれた水田秀穂さんや司修の作品として興味がある人もいるだろう。そういう人以外には...ということで☆2つ。

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