未来は言葉でつくられる 突破する1行の戦略

著 者:細田高広
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2013年7月25日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 以前にお世話になった方がFacebookで紹介されていたのを読んで、興味が湧いたので読んでみた。

 本書のキーワードは「ビジョナリーワード」。本書ではこう説明されている。「想像の中の未来を鮮やかに言い当てる。変革の行方を指し示す。そうやって、未来の骨格となる言葉」。「ビジョン」や「コンセプト」と同義語ではあるのだけれど、それらの中で鮮明さと求心力を備えたものだと、私は理解した。

 本書は「ビジョナリーワード」を30個も例示してくれている。1つだけ紹介する。ソニーの創業者の井深大さんの「ポケットに入るラジオをつくれ」。今はありふれたモノだけれど、当時1950年代の初めでは、ラジオは冷蔵庫や洗濯機のような「家具」で、ポケットに入るラジオなんて「ありえない」代物だった。

 技術者からは「無理だ」という声が上がり、井深さん自身も「何度も中止しようと思った」そうだけれど、数年後には実現する。それは小さいラジオという製品だけではなく、「ひとりで聴く」という新しいラジオの聴き方まで創造した。さらに言えば、これがウォークマンを経てiPodにつながることを、私たちは知っている。

 本書の前半3分の2は、こうした「ビジョナリーワード」と、それを生み出した人をそれぞれ3ページでコンパクトにまとめたもの。明日からの「話のネタ」になる良くできた読み物なのだけれど、実は本書の狙いはそこにはない。

 著者は「それであなたはどうですか?本当に自分の頭で考えた言葉を使っていますか?」と問いかける。私たち一人一人が「それぞれの未来を語る言葉」を生み出すことを促すことが本書の狙い。親切な著者は後半3分の1を使って、その方法を教えてくれている。

 ひとつ新しい気付きがあった。私たちはコミュニケーションの手段としてだけでなく、何かを考える時にも言葉を使っている、ということだ。どれだけ言葉を使いこなせるかは、どれだけ考えられるかに影響する。自分や家族の明日や未来だって「言葉」で考えるのだ。だから言葉を磨こう、そう思った。

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2つのコメントが “未来は言葉でつくられる 突破する1行の戦略”にありました

  1. nagasemasako

    YO-SHI様

    突然のメールを失礼いたします。
    「最新アニメレビュー日記」というサイトを運営しているnagasemasakoと申します。

    ぜひ相互リンク・相互RSSをお願いしたくご連絡させていただきました。

    誠に勝手ながら、先に以下サイトの右サイドバーにリンクを貼らせていただきました。
    http://animereviewblog.com/

    お手数ですが、ご確認の程よろしくお願い申し上げます。
    よろしければ、当サイトと相互リンクを結んで頂けないでしょうか?
    ご検討の程、よろしくお願いいたします。

  2. なおきのブログ

    【書評】『未来は言葉でつくられる』~つまり一言で言うと?~

    言うまでもなく、「言葉」は、コピーライターだけでなくありとあらゆる職種の方に必要です。人を惹きつける「言葉」とは何で、そしてどのようにつくられるのかでしょうか?本書の …

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