ダンス・ウィズ・ドラゴン

著 者:村山由佳
出版社:幻冬舎
出版日:2012年5月25日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者のことは、私が入っている本好きのためのSNS「本カフェ」などで何度か評判になったことがあって気になっていた。 直木賞受賞の「星々の舟
」や中央公論文芸賞他のトリプル受賞となった「ダブル・ファンタジー
」などが代表作なのだろうけれど、手に入った近著の本書を読んでみた。

 ドラゴンを巡る4つの物語をつなぐ連作短編集。井の頭公園の自然文化園の中にある図書館が主な舞台。その図書館は自然文化園の閉園中にだけ、それも図書館自身に「呼ばれた」人だけがたどり着くことができる不思議な図書館。

 29歳の滝田オリエは、この図書館で司書として働くことになった。そこで住居として用意された洋館に住み始めてしばらくしたころ、「屋根裏部屋へ上がるように」という伝言が届く。そこでオリエはドラゴンに遭遇する。

 4つの物語にはそれぞれ主人公がいる。オリエの他の主人公たちもそれぞれにドラゴンや竜との縁が深い。そしてそれぞれが、圧倒的な疎外感や孤独、背徳感や悔恨を胸に抱え込んでいる。哀しい、しかしもの凄い吸引力をもった物語で、強く深く引き込まれてしまった。

 井の頭公園は繁華街から近い。そこにこんな不思議な空間が広がっている。本書は、私たちの暮らしと隣り合わせにある異世界を艶めかしく描いている。他の作品も読んでみたい。

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