キャロリング

著 者:有川浩
出版社:幻冬舎
出版日:2014年10月25日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 主人公は大和俊介。32歳。「エンジェル・メーカー」という、社員数5名の子供服メーカーの営業。この会社が12月25日をもって倒産・廃業する、というところから物語は始まる。

 残りの社員を紹介する。社長は西山英代、俊介の母の友人。デザイナーの佐々木勉、丸々した体型にとっつぁん坊や的童顔。営業の朝倉恵那、歳は俊介より1つ上、美人、東大卒。そしてデザイナーの折原柊子、俊介と同い年。以前、俊介と付き合っていて結婚の話まで出たが、今はただの同僚。

 「エンジェル・メーカー」では、別事業として学童保育をやっている。子供の親をサポートするという関連。多くの親子は惜しみながらも事前に別の施設に移っていったが、一人だけ25日まで預かることに。それが6年生の田所航平くん。

 物語は、俊介と柊子の関係を捉えながら、様々なことに枝を伸ばしていく。俊介の過去、航平の別居中の両親のこと、航平の父親が務める整骨院のこと、そこが抱える借金のこと、その借金を貸している闇金業者のこと。

 著者はラブストーリーを描く作家。それも複数のカップルを同時に描くことが多い。今回も俊介と柊子だけでなく何組もの男女が描かれる。ざっと数えて5組。いつもより多い。そしていつもより様々な男女のあり方を描いた。ハッピーなものばかりではなく。

 ちょっとクサいセリフも著者の持ち味。冒頭の緊迫した場面が、読んでいる間中頭から離れず、ハラハラさせられた。うまい演出だと思う。

 著者の最新刊。昨年の10月25日発行なのに、11月4日からNHKでテレビドラマ化されて、BSプレミアムで放送された。本を原作とするのなら、先に本を読む時間として、せめて半年ぐらいは空けてほしいと思う。

 コンプリート継続中!(アンソロジー以外の書籍化された作品)
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