本屋さんのダイアナ

書影

著 者:柚木麻子
出版社:新潮社
出版日:2014年4月20日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。著者は昨年も「ランチのアッコちゃん」でノミネートされている。

 主人公の名は矢島ダイアナ。「大穴」と書いてダイアナと読む。元ヤンの母のティアラ(勤め先のキャバクラでの名前。本名は有香子)が「世界一ラッキーな女の子になれるように」と付けた。父はダイアナが生まれてすぐにどこかに行ってしまった。

 主人公はもう一人いる。名前は神崎彩子。ダイアナの同級生。出版社の編集者をやっている父と、家で料理教室を開いている母と、3人で英国風の庭がある大きな家に住んでいる。

 本書は、この2人の女性の小学校3年生から22歳までの物語。途中までは「親友」としての2人、その後は別々の人生を歩む2人を交互に描く。互いのことを「羨ましい」と思い、認めてもいながら、些細なすれ違いで距離が離れていく。

 「ランチのアッコちゃん」よりも、ずっと深くて読み応えのある作品だった。

 境遇の違う2人が「親友」になったのはなぜか?。それは、一つには「自分にはないもの」に魅かれあったからだろう。ダイアナは彩子の優しい父母と落ち着いた家庭に、彩子はダイアナの刺激的な暮らしぶりに。

 しかし、2人は同じものも持っていた。2人が親友となるきっかけは「不思議の森のダイアナ」という絵本。本が好きであることと、この絵本への想いを2人は共有する。自分が思い描く人生から外れてしまった時、この絵本は勇気と指針を与えてくれる。そして2人をつなぐ紐帯になる。

 幼い頃に「親友」と呼び合った相手がいるなら、その人と今は疎遠になっているなら、この本を読んでみるのもいいと思う。必ずしも共感はしないかもしれないけれど、得るものはあると思う。

 本書とは関係ないけれど、「ダイアナ」って今で言う「キラキラネーム」だなぁ、と思っていたら、先日「2014年 ベスト・オブ・キラキラネーム」が発表された。

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本屋さんのダイアナ”についてのコメント(1)

  1. こみち

    柚木麻子 『本屋さんのダイアナ』

    JUGEMテーマ:読書感想文nbsp;
     キャバクラ嬢を親に持つ矢島ダイアナ。
    nbsp;
    親のティアラ(源氏名)が娘に付けた「ダイアナ」と意味は
    nbsp;
    競馬や競輪、競艇で掛け金の百倍を超える配当を意味する「大穴」。
    nbsp;
    別れた父親と相談して娘が世界一幸福な女性になるように
    nbsp;
    名付けたなんて、怪しいことを言い出すティアラのことなど
    nbsp;

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