イニシエーション・ラブ

著 者:乾くるみ
出版社:文藝春秋
出版日:2007年4月10日 第1刷 2015年3月15日 第58刷 
評 価:☆☆☆(説明)

 ずいぶん前に知り合いから薦められていた本。その時にはそれほど売れてはいなかったと思うけれど、今や150万部超(2015年4月)というミリオンセラーになっている。今年5月23日には、松田翔太さん主演の映画が公開予定。

 主人公は鈴木、大学4年生。舞台は1987年の静岡。人数合わせで参加した合コンで知り合った繭子と恋に落ちる。本書は、鈴木と繭子が織りなすラブストーリーだ。

 ラブストーリーは嫌いではないけれど、本書には抵抗があった。官能小説(エロ小説と言っしまっては品がないので)と見まがうシーンもあって、50代のオジサンの私が、自宅のリビングで読むのはどうだろう?と。

 とは言え楽しめたこともあった。著者は私と同い年で、主人公の鈴木は私の2つ下。物語は私が過ごした学生時代と重なることが多く、懐かしいものに再会したような気分だった。「クイズダービー」とか「フィーリングカップル5vs5」とか。

 それだけの小説であったなら、150万部のミリオンセラーにはならない。さらに付け加えることがある。これは「ネタバレ」に相当する情報かもしれないけれど、Amazonの紹介文にも本の裏表紙にも書いてあるので、許容範囲と判断して言う。本書には大きな仕掛けがあって、読者が読んでいる物語は、実は全然違う物語だったことが最後に分かる。

 著者はミステリー作家。だから本書も一見するとラブストーリーだけれど、実はミステリーなのだ。

 映画「イニシエーション・ラブ」公式サイト

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