日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?

書影

著 者:ロッシェル・カップ
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版日:2015年2月1日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 タイトルに反発を感じる人もいるだろう。著者が外国人であることが気にくわない人もいるだろう。「日本人は責任感が強く勤勉なことを知らんのか!」と言いたい人もいるだろう。まぁ私がそうだった。

 ところがこういった数々の想いは、著者があげる様々な調査の数値に打ちのめされる。「エンゲージメント」という、「社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的なつながり」を表す数値が異様に低い。

 例えばエフェクトリーインターナショナルという会社の「グローバル社員エンゲージメント指数」調査によると、2014年のデータで、日本の得点は4.5で調査対象国中最下位(世界平均は6.2、アメリカは6.5)だ。

 「エンゲージメント」なんていうよく分からない数値なんて信用できるか!と思う人もいるだろう。私がそうだった。でも、生産性も低いらしい。OECDの2013年の調査で、日本の実務1時間あたりのGDPは41.1ドル。G7平均が56.8ドル、アメリカは66.6ドル。

 世界第3位の経済大国は、長時間労働の結果だったわけだ。ダラダラと長く働くことを「勤勉」とは言わない。

 こうして日本人の(私の)思い込みを打ち砕いた後に、本書はどうしてこうなったのか?どうすればいいのか?に、多くの紙幅を割く。社会全体の変革が必要な気が遠くなる話もあってユウウツだけれど、現場から経営者まで「リーダー」と呼ばれる人は読んだ方がいいかもしれない。

 「そうだよなぁ」と思ったことをひとつだけ。それは「日本企業は「社員はやる気があり一生懸命働くのが当然」と考えている」というもの。

 「やる気のないヤツ、怠けているヤツは、ダメなヤツだ。」これは「勤勉な日本人」には、当たり前の価値観かもしれない。でもだからといって、企業側が社員にやる気を出させる努力を怠って(というか全くしなくて)いい、ということにはならない。これは新しい視点だった。

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