おとなの教養

著 者:池上彰
出版社:NHK出版
出版日:2014年4月10日 第1刷 2015年3月5日 第15刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 時々、著者のこの手の本を読みたくなる。例えばこれまでに読んだののは「知らないと恥をかく世界の大問題」「日本の選択 あなたはどちらを選びますか?」「ニッポンの大問題 池上流・情報分析のヒント44」。何かこう「知識の補充」をする感じ。

 本書のテーマはタイトルどおりで「おとなの教養」。西欧の「リベラルアーツ」の7科目「文法」「修辞学」「論理学」「算術」「幾何学」「天文学」「音楽」に倣って、本書も7つのテーマを据える。

 その7つは「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」。関係がありそうでなさそうな7つだけれど、実は1つのことが共通している。著者は、これらは全て「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」の答えにつながる、と考えているのだ。

 「宗教」と「歴史」の項目が面白かった。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教を並べて、これだけコンパクトにスッキリとまとめた文章を初めてみた。歴史というものの本質、中国や韓国と日本の関係のことが、すんなりと胸に落ちた。

 それから「経済学」も。恥ずかしながら私は、大学で経済学を学んだはずなのだけれど、「そういうことなのか!」と膝を打つことが数度あった。やはり「教養」が足りないなぁ、と思った。

 文部科学省が大学に出した「人文社会科学系学部の廃止や転換を促した」通知のことが報じられている。実は本書の冒頭には、そのことを見越したような部分がある。「教養」については、これまでにも政府・経済界と大学の間で綱引きがあったらしい。この文脈で見ると今回の通知の位置づけがよく分かる。

最後に印象的な言葉を。「すぐ役に立つことは、すぐに役に立たなくなる

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2つのコメントが “おとなの教養”にありました

  1. Saimama

    池上彰さん。新たに こういう本を出されてたんですね!早速 読みます。
    池上さんは 難しいことを 素人にもわかりやすく解説してくださるので ホントに賢人だなーと 尊敬します。
    最近は 日経新聞の「大岡山通信」で満足してました。笑
    私の中の池上さんイチオシ書は「世界を変えた10冊の本」です。
    YO-SHIさんはもう読まれました?現代人の思考が 何故 現状のように構築されてきたのか…の糸口に近づけるような気分にさせてくれる本でした。とはいえ いまだ 気分だけですが。
    子供達には 一冊ずつ買って 渡しましたよ。それぐらいしかできることがないmamaです。今回の「大人の教養」も 子供達にオススメになるかな?期待を持って読んでみます。

  2. YO-SHI

    Saimamaさん、コメントありがとうございます。

    私も池上彰さんは尊敬してます。この本によると、ご本人も「専門家と素人」
    「理系と文系」の間の通訳の役割を意識されているそうです。

    「世界を変えた10冊の本」はまだ読んでいません。早速読んでみます。
    どんな本か楽しみです。おススメありがとうございました。

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