アルケミスト 夢を旅した少年

著 者:パウロ・コエーリョ 訳:山川紘矢+山川亜希子
出版社:KADOKAWA
出版日:1997年2月25日 初版発行 2014年2月5日 50刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 本書は、1988年にブラジルで発表されて、大きな評判を呼んだ。その後に英語を始めとして各国語に翻訳され、世界的なベストセラーとなった。ブラジルではもちろんフランスやイタリアなどでもベストセラーリストの1位に何回も顔を出し、各国で文学賞を受賞しているそうだ。日本語訳は1994年に発行。

 主人公はサンチャゴという名のスペインの羊飼いの少年。ただ少年と言っても16歳まで神学校にいて、羊飼いとしての流浪のの暮らしを2年間しているので、物語の始まりの時で18歳ぐらい。

 サンチャゴは「エジプトのピラミッドに来れば、隠された宝物を発見できる」という同じ夢を二度見た。彼は夢を解釈してくれる老女に会い、セイラムの王メルキゼデックを名乗る老人に会い、彼らの言葉に従ってエジプトを目指すことになる。

 この後サンチャゴは、騙されたり危ない目に会ったり、助けられたり導かれたりして、エジプトへ向かう旅路を行く。「困難を乗り越えて目的地に達する」パターンで、ドラマあり教訓もありなのだけれど、正直に言って、最近の類似の物語に比べると、圧倒的に「もの足りない」。

 だから、この物語が世界的なベストセラーになったのは、冒険のハラハラドキドキに、読者が興奮したからではない。むしろ「興奮」とは逆。随所にちりばめられた「勇気付けられる言葉」「ハッとさせられる言葉」を、ひとり「静かに」胸に納めるようにして、この本が大事な本となったのだろうと思う。

 例えば、クリスタル商人の言葉。受け止め方は様々だろう。私は、自分の中にこんな考えがないか、自問してみた。

 今の店は、わしが欲しいと思っていたちょうどその大きさだ。わしは何も変えたくない。どうやって変化に対応したらいいかわからないからだ。わしは今のやり方に慣れているのだ。

 もう一つ。メルキゼデック王の言葉。

 人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ

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アルケミスト 夢を旅した少年”についてのコメント(1)

  1. 風竜胆の書評

    アルケミスト

     ブラジルの作家パウロ・コエーリョの世界的ベストセラー、「アルケミスト 夢を旅した少年」(山川紘夫、希子訳、角川書店)。
     裕福とはいえない農家の息子に生まれた少 …

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