天の梯 みをつくし料理帖

著 者:高田郁
出版社:角川春樹事務所
出版日:2014年8月18日 第1刷 2015年7月8日 第4刷 発行
評 価:☆☆☆☆☆(説明)

 「みをつくし料理帖」シリーズの第10作。「葛尽くし」「親父泣かせ」「心許り」「恋し粟おこし」の4編を収録した連作短編。そしてこの巻でシリーズ完結。

 主人公の澪は、江戸の元飯田町にある「つる家」という料理屋の板前。彼女には、かつて修業した「天満一兆庵」の再興と、今は吉原にいる幼馴染の野江と昔のように共に暮らす、といった2つの望みがある。

 前作までで、野江と共に暮らすという望みについては端緒についた。しかし、未だ雲をつかむような話で、残り1巻でどうなるものか見当がつかなかった。

 それに「天満一兆庵」の再興の方は、少し後退してしまっている。連綿と書き込まれてきた、澪の恋についてはどうなるのか?など、たくさんの気がかりを残したまま、最後の1巻になっている。

 結論を言えば、気がかりなことのすべてに、着地点が与えられている。それも読者がきちんと得心できるような結末になっている。いや、得心の上を行く鮮やかな結末だった。著者の構想力、筆力に感服した。終盤は泣けて仕方なかった。

 ※巻末の「料理番付」を見ずに本書を閉じてはいけない。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です