著 者:有川浩
出版社:文藝春秋
出版日:2014年3月1日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
先日読んだ「コロボックル絵物語」に続いての、有川浩さん作の絵本。著者の同名の単行本「旅猫リポート」を村上勉さんの挿絵を使って絵本にしたもの。
単行本と同様に主人公はオス猫のナナ。しっぽがカギ型に曲がっていて、数字の7に見えるから、飼い主のサトルに名付けられた。5年間をともに暮らしたが、サトルがナナを手放すことになった。本書は、ナナの引取り先を求めてのナナとサトルの旅を描く。
主人公だけでなく、ストーリーも単行本と同様。逆に違う点は主に2つ。1つ目は、本書は最初から最後までナナの言葉で綴られていること。単行本は人間の視点で語られる部分が多かった。2つ目は(絵本だから当然だけれど)、すべての見開きに村上勉さんの絵が描かれていること。
ナナは知恵のある思慮深い猫で、人間が抱えるいろいろな事情がすべて分かっている。すべて分かった上で、その語り口は余計な感傷がなくて、とてもシンプル。全編がそんなナナの語りによるからだろう、実は哀しい話なのに、本書を通してすっきりした空気感がある。
村上勉さんの絵も素敵で、ナナの語りがシンプルな分、絵が雄弁に語っている感じがする。
※ちなみに「旅猫リポート」は講談社青い鳥文庫にもなっていて
、単行本の文章に本書の絵が挿絵に付いている。手元に置くならこちらもおススメ。対象が「小学校高学年から」で、小学生が読んだらどんな感想を持つのかな、と思った。
コンプリート継続中!(アンソロジー以外の書籍化された作品)
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