2015年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。昨年までと同じく小説部門は10位まで、ビジネス・ノンフィクション部門は5位までです。
  (参考:過去のランキング 2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は102作品でした。☆の数は、「☆5つ」が4個、「☆4つ」が60個、「☆3つ」は34個、「☆2つ」が4個。です。
 「☆5つ」が4個は少ないようですが、実はランキングを作り始めた2008年以降で一番多いです。「☆4つ」が60個はちょっと多いですね。ここ何年か毎年増え続けていて、とうとう6割を占めることになってしまいました。総体的に評価が甘くなったのでしょうか?今年はよい本にたくさん巡り合ったということでしょうか?

■小説部門■

 

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
光とともに…自閉症児を抱えて(1)~(15) / 戸部けいこ Amazon
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自閉症児の光とその家族の軌跡と周辺の出来事を描いたマンガ。光の1歳半検診から中学2年生まで、多くの「無理解」の壁を乗り越えていく姿。自閉症について実に多くのことを得られる。
ハケンアニメ / 辻村深月 Amazon商品
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「ハケンアニメ」は、そのクールで一番成功した「覇権アニメ」のこと。本書は「ハケンアニメ」を競う3人の女性の物語。アニメ業界のことが少し分かる。業界で働く人たちの「熱」も感じられる。
天の梯 みをつくし料理帖 / 高田郁 Amazon
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江戸時代の女料理人を描く10巻シリーズの最終巻。それまでの9巻で描いてきた様々な経緯や人々の思いのそれぞれに、読者がきちんと得心する着地点が与えられている。まさに大団円。
サラバ!(上)(下) / 西加奈子 Amazon
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2014年下半期の直木賞受賞作。テヘランの病院で生まれた主人公の、誕生の瞬間から37歳までの半生。常軌を逸した激しさを持つ姉に振り回される。人の半生を700ページに凝縮した力作。
天空の蜂 / 東野圭吾 Amazon
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ハイジャックされた超大型ヘリコプターが向かったのは原子力発電所。犯人は原子炉の上に墜落させるという。20年前に刊行されたとは思えない、私たちの目の前にある危機を描いた作品。
流星ワゴン / 重松清 Amazon
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「死んじゃってもいいかなぁ、もう」と思っていた主人公。そこに現れたワゴン車が、彼にとって「たいせつな場所」に連れていく。地理的にだけではなく時間的にも大切な人生の「分かれ目」に。
蜩の記 / 葉室鱗 Amazon
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2011年下半期の直木賞受賞作。「3年後に切腹」という沙汰を受けた身で、家譜(藩の記録)編纂という役目に励む武士。その人となりと暮らしを、監視役を兼ねて補佐する藩士の目から描く。
NO.6 #1~#9 / あさのあつこ Amazon
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一旦は核戦争や環境汚染で荒廃した地球に、その反省から建設された「理想都市(ユートピア)」が舞台。しかしその実態は、監視・管理された「ディストピア」。それに挑んだ若者たちの物語。
土漠の花 / 月村了衛 Amazon
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アフリカの国境地帯に派遣された、日本の陸上自衛隊の自衛官たちの物語。墜落したヘリの捜索と救助に向かったが、現地の氏族間の争いに否応なく巻き込まれる。その後は怒涛の展開。
10 僕は、そして僕たちはどう生きるか / 梨木香歩 Amazon
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一人暮らしの14歳の少年の5月の連休の1日。友人や叔父やらとの出来事を、草木の瑞々しい描写とともに描く。中学生の爽やかな休日、と思っていたら、思いのほか重いものを受け取る。

 今年の第1位は異例のマンガ作品になりました。「参考に」と言って貸してもらった15巻を読んだものです。途中で何度も涙し、また勇気付けられもしました。「無理解の壁」と書きましたが、隣合わせには「無知」があります。この本で多くのことを学べてよかったと思います。

 3位までが「☆5つ」の作品ですが、それも含めて順位は多少前後に入れ替わっていてもおかしくありません。3位の「天の梯」は、昨年同様に「みをつくし料理帖」シリーズ全体の評価でもあります。読まれる方はシリーズの1巻「八朔の雪」から順番にお読みください。

 選外の作品について言うと、伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングは三つ数えろ」、有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」をランキングに入れるかどうか迷いました。このお二人は私が大好きな作家さんで
もありまず。その他には、黒野伸一さんの「脱・限界集落株式会社」、森沢明夫さんの「虹の岬の喫茶店」が候補になりました。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
本当の戦争の話をしよう / 伊勢﨑賢治 Amazon
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紛争地帯の武装解除にあたった著者が、福島の高校生に話した「平和」「世界の紛争の現場」「ニュースで報じられない事情」。驚きの連続。安全保障を考える前に、ぜひ読んでもらいたい。
黒島を忘れない / 小林広司 Amazon
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太平洋戦争終戦間際に、特攻機で出撃するも不時着した特攻隊員らと、彼らが不時着した島の島民の記録。「誰かに伝えたい」という著者の遺志を感じる。私も伝えなければならないと思う。
沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療> / 堤未果 Amazon
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前著「沈みゆく大国アメリカ」で明らかにした、米国の医療保険制度の問題が、日本でも対岸の火事ではないとした警鐘を鳴らす作品。TPP合意によって、その危惧はさらに現実味を帯びた。
世界を変えた10冊の本 / 池上彰 Amazon
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「アンネの日記」「聖書」「コーラン」「沈黙の春」「種の起源」..。人々の思考や行動に影響を与えた10の書物を紹介。本が「世界を変える」ことなんてあるのか?と思ったが、実際にあったのだ。
京大式 おもろい勉強法 / 山極寿一 Amazon
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京都大学総長である著者が、ゴリラ研究者としての自身の半生を綴った本。それによって、手軽な勉強法よりも大事なことを伝えている。ゴリラと比較することで、人間のことが良く分かる。

 1位の「本当の戦争の話をしよう」は、仮定で進めてしまいがちな安全保障の議論に、現場の感覚の一端を持ち込むのに良い本。紛争の当事者たちの素顔や、彼らは「日本」をどう見ているのか?示唆に富んだ話だと思う。2位の「黒島を忘れない」は、紹介されて読んだ本。「伝えたい」という気持ちのバトンを受け取りました。

 選外の作品としては「安倍政権の裏の顔」「里海資本論」「福井モデル」などが候補になりました。「安倍政権~」は、今の政権の振る舞いに危うさを感じるので、その原因の一端が見えた気がします。あとの2つは共に「次の社会モデル」を探るもの。なんとなく閉塞感のある今、必要とされていることだと思いました。

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