鴨川食堂

著 者:柏井壽
出版社:小学館
出版日:2015年5月13日 初版第1刷 2016年2月1日 第5刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 1月からNHK BSプレミアムで放送されていた、同名のTVドラマの原作。

 舞台は京都。東本願寺近くの食堂、鴨川流とこいしの父娘が営む「鴨川食堂」。看板も出ていない食堂で、ここに辿り着くお客は、料理雑誌に載った一行広告を見て来る。その広告にはこう書いてある「鴨川食堂・鴨川探偵事務所-"食"捜します」

 鴨川流は元警察官で、その経歴を生かして探偵をしている。この設定はよくあるものだけれど、他にないのは、探すものが「食」だということ。「もう一度食べたい」という料理を探し出して、再現してくれる、というのだ。

 そんなわけで、様々な料理を捜して欲しいというお客がやってくる。その料理は次の6つ。

 亡くなった奥さんが作った「鍋焼きうどん」、プロポーズされた相手と食べた「ビーフシチュー」、近所のおばさんに食べさせてもらった「鯖寿司」、別れた旦那さんがお店で出していた「とんかつ」、おじいちゃんに食べさせてもらった「ナポリタン」、おふくろの味「肉じゃが」

 よく意味が分からない広告も、看板も出していないことも、あえて簡単には辿り着けない工夫。ここまでたどり着くお客には、それだけの想いがある。流が捜し出すのは料理だけはない。その料理に隠された物語まで聞き込んでくる。

 お客の料理に対する想いと、その料理に隠された物語を、丁寧に描く。うまそうな料理が目に浮かぶ、心温まるおいしい本だ。

参考:NHKプレミアムドラマ「鴨川食堂」公式サイト

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です