武士道セブンティーン

書影

著 者:誉田哲也
出版社:文藝春秋
出版日:2008年7月10日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「武士道シックスティーン」の続編。磯山香織と甲本早苗の前作の翌年、高校2年生の春から冬までの剣道にかける青春を描く。

 今回は、香織と早苗の別れと気持ちのすれ違いから始まる。早苗が遠くへ転校する出立の東京国際空港、3月31日。早苗は住所も学校も決まってないと言う。さらに「剣道はもう、やんないかも」と。全部ウソだ。

 なんでまたそんなウソをついたのかは、早苗の口から説明がある。「早苗ちゃん、それは間違ってるよ」と言ってあげたいような理由。でも、早苗がそう考えても仕方がない。「仲、良かったのかな」という早苗の独白が示すように、二人の間柄はとても微妙だからだ。

 微妙と言っても結びつきが弱いわけではない。「親友」という間柄より、結びつきが強いようにさえ感じる。香織からの一方的な引きの強さがないことはないけれど、共に高みを目指す「同志」。それもちょっと違う。もう少しお互いを必要としあう間柄。

 この後、香織はこれまで通りに東松学園高校で、剣道に打ち込む。後輩の田原美緒に懐かれ調子を狂わされながら。早苗は福岡南高校という剣道の名門高で、東松との違いに戸惑いながら練習に励む。黒岩レナという剣道部の友達もできた。

 著者は多くの要素を持ち込んできた。2年生になった香織の先輩後輩の関係、転入した早苗の新しい場所での葛藤、それぞれの家族の変化、そして剣道が持つ「武道」と「スポーツ」の多面性。二人以外の登場人物にも粒ぞろいになり、先が楽しみになった。

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武士道セブンティーン”についてのコメント(1)

  1. 日々の書付

    「武士道セブンティーン」 誉田 哲也

    武道としての剣道を目指す青春武士道ストーリー。
    「武士道シックスティーン」の続編「武士道セブンティーン」
    正直、前回読んだ「武士道シックスティーン」では香織のかたくななまでのジャックナイフっぷりについていけない部分もあったのですが、今回はすごく面白かった!「武士道シリーズ」の中で一番好きです。
    早苗ののほほんとした強引さと、東松女子剣道部のみんなに支えられて香織はスランプから立ち直り徐々に心を開いていきます。ようやくこれから…というときに、早苗は復縁した父親の都合で福岡へ。
    福岡では…

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