朝日ジャーナル(週刊朝日臨時増刊)

出版社:朝日新聞出版
出版日:2016年7月7日発行(増刊)
評 価:☆☆☆(説明)

 朝日ジャーナルの緊急復刊号。先の参院選を前に「もう一度、みんなでこの社会の在り方を考えよう」ということで6月27日に発売された。つまり参院選に危機感を抱いてそれに間に合わせるために「緊急」に復刊したということだ。

 インタビューや対談に登場するのは錚々たる面々。池上彰さん、田原総一朗さん、久米宏さん、翁長雄志さん。国連特別報告者のデービッド・ケイさんの名前も見える。桜井よしこさん、花田紀凱といった右派の論客もいらっしゃる。他にも、雑誌の巻頭インタビューを飾ってもおかしくない方々もいる。

 内容は復刊の目的の通り、参院選をにらんで「三分の二」「改憲」「安倍内閣」「ジャーナリズム」への、危機感を訴えるものが多い。ただどれも穏便なトーンで、拳を振り上げるような激しさはない。桜井さんたちのインタビューは、明け透けに言うと、両論併記のために見える。

 本誌を多くの人に読んで欲しい。主張をキチンと伝えるには、このぐらいの分量の文章が必要だと思うからだ。もちろん、それは右派の主張でも同じだ。ネット上のものもテレビで伝えられるものも、一部だけ切り取られていたり、歪められていたりする。

 それと同時に、本誌によって右派の思想を持つ読者が、意見を改めるなんてことは起きないだろうとも思った。そもそも「朝日」を冠する雑誌の臨時号なんて買わないだろう。(「自分の考えに近いものしか目にしない」という状況が、分断を生んでいる、ということにはここでは深入りしない)

 林真理子さんの言葉に、目が開く思いがした。「定年退職したオジサンが右傾化する」理由として、「アプリで無料の産経を読むからだ」とおっしゃっていた。定年退職したオジサンがそうなら、「ニュースはほとんどネットで」という若者だって同じではないか。

 私にも思い当たることはあった。新聞記事を引用しよう検索すると、とにかく「産経ニュース」がたくさんリストアップされる。産経は無料で全文読めるけれど、他の新聞は会員登録が必要だ。コレってけっこう大変なことじゃないのかな?

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