著 者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2017年2月25日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
人気ベストセラーシリーズの第7巻。本書の発売に合わせて、実写とアニメの映画化が発表されている。ストーリーもキャストも公開時期さえ未発表で「詳細は後日」という異例の告知だけれど。
「古書にまつわるミステリー」をテーマにしてきたこのシリーズは、短編ごとに別の古書が登場する短編集の巻と、1冊の本を追いかける長編の巻がある。第7巻の本書は長編の体裁。そして本書でシリーズは完結する。
完結編の本書で、主人公の大輔と栞子が追う本は、シェイクスピアの作品集。ファースト・フォリオと呼ばれる、17世紀に出版された最初の作品集で、その1冊がサザビーズで約6億円の値が付いた、というシロモノだ。その本は栞子の祖父の因縁の品物で、母の失踪とも関係している。
前作の第6巻は、栞子を取り巻く新たな謎を加えて、シリーズの構造をドンドン重層的に複雑にした。本書は(完結編ということもあって)、その複雑さを解きほぐす役割を持っている。だから物語が一方向に流れて行く感じなのだけれど、それでも幾つかのヤマがあって、やっぱり最後まで気が抜けなかった。
これで完結ということで、著者には「ありがとう」と「お疲れさま」と声をかけたい。それまで1年を空けずに巻を重ねて来ていたのに、今回は2年以上も空いての発行だった。「あとがき」によると「今度こそ書けないと思う瞬間が何度もありました」ということだ。
さらにうれしいことに「番外編やスピオンオフという形で「ビブリア」はまだ続きます」という。いつ公開されるかもわからない映画も気になるけれど、スピンオフ作品が今から楽しみだ。
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いよいよ完結『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上 延
人気古書ミステリ、ビブリア古書堂の事件手帖シリーズもいよいよ完結。今回いよいよ栞子さんの母・智恵子さんが長年探していた本が判明します。
その本とは、いわばシェイクスピア戯曲の初版本・ファースト・フォリオ。1623年に発行された、市場にでまわればその価値は数億円にも及ぶという。
今まで私なりに、智恵子の探す本がなんなのか、推測をしてみましたが、ことごとく予想を外されました。まあ、私ごときの推理でわかるものではないのですが。
『ビブリア古書堂の事件手帖』が扱う本は「誰もが名前と代表作名…