ここが知りたい!デジタル遺品

著 者:古田雄介
出版社:技術評論社
出版日:2017年8月19日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「デジタル遺品」とは、故人がデジタル情報として遺したもののこと。スマートフォンやパソコンに保存された写真や書類、ブログやSNSの投稿などインターネット上のデータ、様々なサイトに登録したアカウント情報、ネット銀行や証券の口座とそこに残る預金や株式など、多種多様なものがある。

 著者はデジタル遺品研究会ルクシーという団体の理事。デジタル遺品の取り扱いに困った遺族のサポートや、遺族が困らないための生前準備の普及、の2つの活動を行っている。ルーツには東日本大震災での家族写真などの復旧活動があるらしい。

 本書は、団体の2つの活動に沿うように、(1)遺族としての向き合い方と具体的な方法と、(2)自分の資産をどうやって遺すかという準備、について説明する。本書の中でも言及されていたが、(1)の部分は(2)の倍ぐらいの分量がある。生前に自分で準備する方がずっとずっと楽、残された遺族が対処するのは困難なのだ。

 自分のデジタル資産は自分一代限りで結構、遺すつもりはない、という人も、自分はそれでいいけれど、遺族はそうはいかない。株式やFXで大金の請求が来ることだってある。「そんなものない」というのは、自分だから分かることで、遺族は「ないことも分からない」。「ない」なら「ない」ことが伝わるようにしよう。

 15年以上書き続けているこのブログは、この記事が1,229個目の記事だ。私があの世に行けば「デジタル遺品」になる。そうなった時にどうしたいか、考えたこともないけれど、考えておかないと残された家族を煩わせてしまうかもしれない。巻末の付録に「デジタル遺品・資産整理シート」が付いているので、活用してみたい。

 最後に。生前の準備の章のタイトルは「自分の資産を託す・隠す・整理する」サブタイトルにも「隠す!」の字があるけれど、家族や同僚に「何も隠すことはない」人はいいけれど、そうでない人はコントロールできるようにした方がいい、と思う。

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