3時のアッコちゃん

著 者:柚木麻子
出版社:双葉社
出版日:2017年10月15日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 2014年の本屋大賞ノミネート作品「ランチのアッコちゃん」の続編。表題作「3時のアッコちゃん」を含む4編を収録した短編集。

 「3時のアッコちゃん」の主人公は、「ランチの~」と同じで澤田三智子。先頃、東京にある大手の商社で、派遣社員から契約社員に昇格した。宣伝部でシャンパンのキャンペーンの企画チームにいる。傍目には順風に見えるかもしれないけれど、実態はそうでもない。

 キャンペーンの企画が行き詰っている。そんな時に三智子の前に現れたのが黒川敦子。三智子の元上司のアッコさん。これまでも突拍子もないことを言い出していたけれど、今回も。自分がアフタヌーンティーを出すから、5日間続けて企画会議を3時に開け、と。

 まぁ、アッコさんが出す紅茶(と三智子に出すアドバイス)が抜群の効果を発揮する。前作もそうだけれど「うまく行きすぎる」と思う部分はある。でも、うまく行く行かないは、こんなちょっとしたことで変わるのかもしれない、と思わせるぐらいには筋が通っている。

 この他の3編は、主人公が、デリバリーサービスの電話オペレーター、お菓子メーカーのデザイナー、就職活動中の女子大生、とそれぞれ違う。後半の2編は関西が舞台で、アッコさんは直接は登場しない。でも、アッコさんが経営するスムージー屋が登場する。関西に進出したらしい。

 最後に。お菓子メーカーのデザイナーが主人公の「シュシュと猪」は神戸の東の端、阪急岡本駅付近が舞台。タイトルと舞台の組み合わせでピンと来た人は、そうでない人よりきっと楽しめるはず。

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